ロボットは日本のお家芸
──IBMやマイクロソフトが、Pepperとの連携を発表して話題になりました。 ロボットって過去にもありましたけど、それらと大きく違うのは、オープンな戦略であるということです。最新テクノロジーの真ん中にPepperがいる。そのような位置づけにすることを目指しています。
だから、PepperはIBMの「Watson」と連携できますし、マイクロソフトやグーグルのクラウドサービスとも連携できます。そういうグローバル大手の企業の中心にPepperを置きたいし、実際にそのようになってきています。
IBMのジミー・ロメッティさん(社長兼CEO)と直接お話しをしたときには、すごく気に入っていただきました。マイクロソフトのサティア・ナデラさん(CEO)も、Pepperを気に入って日本まできてくれました。グーグルもAndroidのトップ、ヒロシ・ロックハイマーさんがPepperを見て、絶対にいけると。
IBMとマイクロソフトとグーグルのトップが、これはおもしろいといってくれている。そんな商品は、あまりないですよね。だから、おもしろいんですよ、きっと。
──人工知能を開発した。次は、その人工知能をどう活用するかということで、Pepperが注目されているわけですね。 例えば、ペットボトルに人工知能を積んで、それと人間がコミュニケーションをできるのかと。IBMとマイクロソフトとグーグルのトップは、ノーだと。やはり、人間はPepperのように生き物にみえるもののほうがコミュニケーションをしやすい。彼らは共通してそう言います。やはり、ロボットなんだと。
──Pepperは、もともとグローバル展開を視野に入れていますから、グローバル大手のクラウドベンダーとの連携は心強いですね。 その通りですが、複雑な思いもあります。日本は、PCもスマートフォンも、タブレット端末も海外勢に負けているじゃないですか。すごく大きな市場なのに、日本のメーカーは全然入ることができない。そんな国だったっけ、日本ってもっと強かったんじゃないかと。だから、ロボットだけは絶対に日本発で勝ちたい。柔道みたいなもので、ロボットは日本のお家芸ですから。
一方で、いまだに米国だ日本だっていうのは、時代錯誤ではないかとも思うんです。でも、時代錯誤と思われてもいいから、ロボットだけは絶対に日本発で勝ちたい。
──ロボットの時代が来るのは間違いないでしょうから、確かにそこは日本に勝ってほしい。 その時代がどれくらいのスピードでくるのか。早めていきたいですね。東京五輪の2020年は意識しています。東京五輪では世界中の人がきますが、街中にロボットがいたら楽しいじゃないですか。それを目指します。
いまだに米国だ日本だっていうのは
時代錯誤ではないかと思うんです。
でも、ロボットは日本発で勝ちたい。
<“KEY PERSON”の愛用品>着信を逃さない パリが主な活動拠点なのに、時差を考えずに日本から電話がかかってくる。すぐに出ないとまずいことも。そこで、ガーミンの活動量計「vivosmart」を愛用。スマートフォンとの連携で電話やSMSの着信を振動で知らせてくれる。
眼光紙背 ~取材を終えて~
クラウドサービスは本来、デバイスを選ばない。とくに企業向けはウェブブラウザさえあれば、利用することができる。対象がロボットに変わっても、基本は同じである。ロボットもデバイスの一つに過ぎない。
ところが、Pepperに対しては、グローバル大手のクラウドベンダーがすり寄ってくるという構図になっている。キーワードは、人工知能(AI)だ。AIが進歩したら、それを活用するためのデバイスが必要になる。コミュニケーションで使用するなら、タブレット端末でも機能するが、表現力に限界がある。そこで、ロボットに期待が高まるというわけだ。
「ロボットだけは日本発で勝ちたい」を何度も強調した冨澤社長。クラウドにとっては単なるIoTデバイスかもしれないが、Pepperとしても各社のクラウドサービスは選択肢の一つに過ぎない。どちらが主導権を握るのか。日本発のロボットが勝利することを楽しみにしたい。(弐)
プロフィール
冨澤文秀
1972年12月22日生まれ。97年4月に日本電信電話入社。2000年4月にソフトバンク・コマース入社。03年1月にソフトバンクBBへの組織変更により、ビジネスパートナー企画部長に就任。06年10月にソフトバンクモバイルへ出向し、プロジェクト推進部長に就任。10年5月に事業推進統括部 統括部長(副商材および新規事業)に就任。11年10月からロボット事業責任者を兼任(現ソフトバンクロボティクス)、12年10月からSBエナジー、13年4月からイー・アクセスのマーケティング本部 副本部長を兼任。14年8月にソフトバンクロボティクスの代表取締役社長に就任(現任)。15年3月にAldebaran RoboticsのCEOに就任(現任)。
会社紹介
ソフトバンクグループにおけるロボット事業を統括する中間持ち株会社として設立。「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクグループの経営理念のもと、傘下の企業はロボットやロボット関連の製品・サービスを提供している。日本では2014年6月に「Pepper」を発表し、15年10月からは法人向けモデルとなる「Pepper for Biz」の展開を開始。現在1700社以上がPepperを導入。幅広い業界で活躍している。