競争力のある自社パッケージソフトを数多く開発してきたSIerのニッセイコムは、その強み生かして隣接する領域への進出に力を入れる。IoTやAI(人工知能)といった新しい商材を駆使するとともに、クラウド型のサービスビジネスの拡大にも意欲を示す。これまで強みとしてきた領域を超えて成長するという意味で、ニッセイコムの荻山得哉社長は「枠を超えた成長」をキーワードに掲げ、経営の舵取りに臨んでいる。
IoTやAIで隣接領域を広げていく
──ニッセイコムのトップに就いて半年余りがたちますが、荻山社長の経営方針について、まずはお聞かせください。 「枠を超えた成長」をしていきたいと考えています。当社は基幹系から情報系までしっかりとした強みをもったSIerですが、成長を持続させるには既存の枠を超えていかなければなりません。経営のトップとしては、ぜひとも、この枠を超えた成長を成し遂げられるよう、指揮を執っていきたいですね。
──枠を超えるとは、具体的にはどのようなものをイメージしておられますか。 従来のIT基盤や基幹システムはしっかりお納めするとして、そこから先の価値をどう高めていくかを重視しています。近年ではユーザー企業の情報システム部門が、事業部門と一緒になってIoTを活用したり、ビッグデータ分析で新しい気づきをみつけたりと、ITを活用したビジネス創出の領域へと積極的に取り組んでいるケースが増えています。ITのプロであるわれわれとしても、顧客の情報システム部門や事業部門と協力して、できればリードするようなかたちで、IT活用型のビジネス創出を支援していく。こうすることで、当社のビジネスの幅も広がり、成長へとつながるはずです。
──「ニッセイコム」といえば、非常に手堅いビジネスを手がけている老舗SIerとの印象が強いのですが、新しい領域へ果敢に挑戦するということでしょうか。 「枠を超える」とは、突拍子もない領域へいきなり出て行くのではなくて、隣接領域を広げていくイメージでしょうか。自社パッケージソフトの「GrowOne」シリーズを開発しているのですが、例えば保守メンテナンス業務向けの「GrowOneメンテナンス」と「IoT」を連携させ、設備の稼働状況を各種センサで読み取って故障予兆を検出するといった需要は、すでに顕在化しています。
ほかにも、当社の主力商材の一つで健康保険組合システム「GrowOne健保」があるのですが、大手ユーザー企業に活用していただいており、その家族も含めればデータベースのボリュームは数十万人規模に達します。個人情報を保護しつつ、ビッグデータ分析やAIを活用して、健康維持に役立つような仕組みづくりをぜひとも実現していきたい。健保組合は、組合員の皆さんが健康でいてほしい、病気にならないでほしいと願っているわけですし、企業の「健康経営」の観点からも従業員の健康管理は、重要な経営課題になっています。大きなニーズがあるのは間違いありません。
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