データ活用が国際競争力の向上に
――今後の目標を教えてください。
一番目指したいのは、日本の国際競争力の向上です。日本のデータリテラシーが上がり、日本の企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が具体的に加速していけば、その結果として日本企業のビジネスが向上して日本の国際競争力につながると思っています。
日本のIT産業はこれまでいい意味で人間の力、SI力で支えられてきました。しかし今はテクノロジーの変遷も激しく、何より今後、経済を生み出す従業員の方々がどんどん減っていく時代がやってきます。そのときにいかに生産性を上げるかを考えると、良いテクノロジーを採用して今までやってきたことをより少ない人員でできるようにし、人間がもっと生産的、能動的、クリエイティブにならないといけない。そこの部分をわれわれのテクノロジーで支援する、もしくはコンペティターの方々と手を組んでても、データリテラシーを上げていくということが重要になると思っています。
クリックとしては、データ分析をインフラとデータリテラシーの側面から支えていくことで、企業のDXを加速していきたい。SIerやエンドユーザーのビジネスモデルを変革することで、SIerは利益率の高い事業構造をつくることができるし、エンドユーザである企業の姿も大きく変えることができる。結果として、われわれ自身も市場を大きくできる。それによって何よりも日本の企業が活性化して日本の国際競争力が上がると思っていますので、そこに向けてビジネスを展開していきます。
データリテラシーを上げること、IT産業のビジネス構造を変えるというのは簡単なことではありませんが、私はできると考えています。テクノロジーもありますし、2025年の崖という環境のマイルストーンもあります。今こそチャンスの時だと思っています。
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強豪・関西学院大学アメフト部を率いる鳥内秀晃監督の著書を持ち歩く。鳥内監督が人材教育論を説いた一冊で、自身もアメフト選手だった経験から興味を持った。本著を読んで、「自分なりに考えている『人財開発』に対する仮説と照らし合わせている」と話す。
眼光紙背 ~取材を終えて~
「進化」のタイミングを逃さない
2019年10月のカントリーマネージャー就任後、まず取り組んだのは社内外のリソースや顧客の声を把握すること。顧客やパートナーを訪問する中で、ポートフォリオを拡大し、データアナリティクスプラットフォーマーへ転身したことに期待の声があった一方、新しいクリックについて「正しい言葉で日本市場に伝えてほしい」と叱咤激励も受けた。「せっかく良い製品とテクノロジーを持っているのに、それを全く伝えられていない」と実感した。
そうした評価を受け、マーケティング体制などを強化。10月末に開催したイベントでは、日本の顧客・パートナーに対し、就任のあいさつとともに最新のテクノロジーや事例を紹介。日本市場での「新生クリック」は、このときに始動した。
それから半年以上が経過し、「お客様の課題やビジネスに応えられる幅が広がった」と、一定の手応えを感じている。
グローバルと比べて、日本のデータリテラシーが低いことに課題を感じているが、「2025年の崖」での提言に加え、今年に入り新型コロナウイルスの影響で、社内外の情報を理解し次のアクションに移すためのデータ分析需要が高まっているとも認識する。「この変化のタイミングは進化に変えられる絶好のチャンス」だと、データ活用の促進に意欲を燃やしている。
プロフィール
今井 浩
(いまい ひろし)
1970年、栃木県出身。92年に埼玉大学工学部機械工学科卒業後、日本IBMにアメリカンフットボール選手として入社し、99年まで現役で活躍。94年から営業として従事し、2004年にSAPジャパンへ転職、12年からは日本マイクロソフトで勤務。14年、EMCジャパン(Dell EMC)に入社し、データ保護ソリューション事業本部事業本部長として従事。19年10月、クリックテック・ジャパンのカントリーマネージャーに就任。
会社紹介
米クリック・テクノロジーズの日本法人。1993年にスウェーデンで創業したBIツールベンダーで、近年はエンドツーエンドのデータ管理および分析プラットフォームの提供に力を入れている。グローバルで5万社以上の製品導入実績がある。