半々の販売比率は変えない
――富士通がFUJITSU Hybrid IT Serviceの提供開始を発表しました。ニフクラを基盤に利用するという話ですが、ビジネス面で変化はありますか。
富士通のチャネルを通じた販売と、それ以外の比率はほぼ半々になっており、今後もその比率を変えるつもりはありません。市場のピラミッドを考えた時、上位層の大手のお客様は富士通のチャネルから来ると思いますが、それ以外はわれわれの今までのチャネルから入って来るでしょう。富士通が明確な方針を出しましたので、自然と富士通経由の引き合いは増えてくるとみています。結果的に富士通チャネルの案件が増えて困るわけではありませんので、そこが伸びていくのはウェルカムです。とはいえ、自分たちのビジネスも伸ばしていきたいので、ちょっと欲張りですが、両方ともしっかり伸ばしていければいいと考えています。
――冒頭でNo Boundaryを踏襲しつつ、Connectingを追加したというお話がありました。何か新しいことに取り組む計画はありますか。
今後、富士通もデジタルトランスフォーメーションに力を入れると言っていますので、そういう中で、われわれの持つ素材をエンジニアの方々にうまく活用してもらえれば、提供までのリードタイムを短くしたり、開発量を減らしたりといった効果が期待できます。われわれとしては、単に“箱”としてニフクラを売るだけではなく、箱を活用するための“仕組み”の販売も伸ばしていくつもりです。
――仕組みというのは具体的にどのようなイメージになりますか。
昨年、防災支援のノウハウを持つ企業などとタイアップし、大雨時の避難アラートなどを出すソリューションを開発しました。既に九州で稼働しており、パートナーが再販できるようになっています。われわれはSIerではないので、パートナーや知見を持った方々と協力して仕組みをつくり上げ、それをお客様に一緒に提供し、さらに横展開していくことを考えています。さまざまな企業との幅広い協業によって、新しいサービスや付加価値をつくるビジネスを増やしていきたいです。これは前社長が道筋をつけてくれているので、これからもっと広げていくことを計画しています。
Favorite
Goods
8年ほど前にドイツへ出張した際、同僚と一緒に入った現地の時計店で「ほぼ衝動買いした」というロンジンの機械式時計。日付と時刻が分かるシンプルなデザインのほか、薄いところがお気に入りのポイントだ。
眼光紙背 ~取材を終えて~
エンジニアとして培った価値観は
変わらない
日々、開発現場を歩き、社員とコミュニケーションを取ってきた。エンジニアとして培ってきた経験や知見を共有したいとの思いがあるからだ。執行役員から社長に昇格し、立場は変わったが、「“徘徊行為”は変わらない」と笑う。
社内のSNSには「どんどん突っ込みを入れる」が、社員も臆せず意見を言ってくる。社内の雰囲気は自由闊達で、社員の間に階層による断絶はない。お互いに忌憚なく話し合うことで、「新たな気付きを得られることもある」という。
新型コロナウイルスの感染が広がる中で会社のかじ取りを担うことになった。ビジネスの成長に向けた戦略を考えつつ、感染防止策にも気を配ることが求められたが、社員の声を聞きながら社内の業務を目下の環境に最適化すべく取り組んできた。
顧客から感謝や称賛、感動を得ることを「本質で目指すべきところ」とし、それこそが「エンジニア冥利に尽きる」と語る。常に顧客のことを考える姿勢は、社長になった今も変わらない。「時代ごとに求められることは変わる。しっかりと顧客を見て、何が必要かをみんなでしっかり考え、誇りを持って働けるようにしていきたい」と意気込む。
プロフィール
新見昌弘
(にいみ まさひろ)
1962年8月生まれ。徳島県出身。徳島大学工学部卒。1985年4月、富士通徳島システムエンジニアリングに入社。富士通のITシステム本部ITビジネス推進統括部長兼クラウドサポートセンター長や富士通クラウドテクノロジーズ執行役員事業戦略担当などを歴任し、20年4月から現職。技術士(情報工学部門)、情報処理安全確保支援士。
会社紹介
1986年、日商岩井と富士通の共同出資により、パソコン通信サービス「ニフティサーブ」の運営会社エヌ・アイ・エフとして創業。富士通の完全子会社となり、2010年からVMwareベースのクラウドサービス「ニフクラ」を法人向けに提供。17年4月、ISPを中心とするコンシューマー向け事業を吸収分割によって富士通が新設した100%子会社に継承し、継承した新設会社の株式をノジマへ譲渡(現ニフティ)。クラウドを中心とするエンタープライズ向け事業を中心とした会社は存続し、社名変更して富士通クラウドテクノロジーズとして再編した。20年1月にクラウドサービス提供開始10周年を迎えた。導入実績は7000契約以上。社員数287人(20年5月31日現在)。