分厚いセキュリティ機器は
マルチクラウド時代に不適

――Webの世界では強いクラウドフレアですが、一般企業に対してはどのようなメリットを提供できるのでしょうか。

　オンプレミスのシステムでインテグレーションする場合は、まずラックを立てて、そこにネットワーク機器やセキュリティ機器を入れていったわけですが、クラウドでも共通のセキュリティポリシーで運用しようとなると、クラウド側にも同じセキュリティ製品を導入する必要があります。マルチクラウドなら利用するクラウドの数だけ同じ製品が必要になるし、セキュリティの領域では年々新しい要件が追加され、セキュリティスタックはどんどん厚くなっていきます。IaaSだけでなくSaaSをどう保護するかという問題もあります。

――ハイブリッド／マルチクラウドが当たり前になる時代に、重たいセキュリティスタックをクラウドの数だけ構築していくというモデルは限界を迎えたと。

　予算のある大企業であれば、セキュリティ製品を導入するための初期投資はそこまで問題にはならないかもしれませんが、運用が問題になります。ポリシーを全てのセキュリティ製品に確実に適用しないと、どこかに穴が残ったままになっているといった問題が起きます。それが当社のようなクラウドサービスで守れれば、オンプレミスからパブリッククラウド、SaaSまで、一カ所から全てのセキュリティ運用が可能になります。

――Webアプリケーションを外部に公開していない企業にも、提供可能なセキュリティサービスはありますか。

　これから日本市場でも力をいれようと考えているのが、VPNに代わる社内ネットワークのセキュリティで、いわゆるゼロトラストネットワークアクセスのサービスです。この分野では当社を含むほとんどのベンダーがクラウドで認証やアクセス制御を提供していますが、CDNで培ったPoP（Point of Presence、ネットワーク拠点）数の多さが差別化要素になります。先進国のインターネット人口の99％は当社のPoPまで100ミリ秒以下で到達可能で、これはクラウドからセキュリティを提供する際のパフォーマンス上、当社が非常に有利であることを意味しています。

――日本市場でのビジネス拡大の道筋はどのように描かれていますか。

　いわゆるエンタープライズITの世界では、クラウドフレアという名前すらご存じない方のほうがまだ多いですし、大企業では、企業ごとに定められたセキュリティポリシーがありますので、そこを変えてまでいきなりクラウドフレアを採用していただくのは難しいと承知しています。まずは現場の技術者の方に、企業内の一部でいいから使っていただき、導入事例を積み重ねていくことで、「あの企業でも使ってる」「こんな使い方もできる」という声を広げていきたいと考えています。一度利用してみれば、もうハードウェアのセキュリティ製品には戻りたくなくなります。それくらい簡単に運用できる、使い始めたらやめられないような魅力のあるサービスであると自負しています。
 

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　リラックスのためにアロマオイルを愛用している。お気に入りはフランス製のラベンダーの香り。ベッドに入る前に枕元にわずかな香りをつけると、自然と眠りにつけるといい、生活リズムを整えるのに役立っている。
   

眼光紙背 ～取材を終えて～