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“雲”の向こう側を見るためのテクノロジー

Datadog Japan 執行役社長

国本明善

取材・文/日高彰 撮影/大星直輝

2022/10/31 09:00

国本明善

週刊BCN 2022年10月31日vol.1944掲載

 「オブザーバビリティ」という言葉が話題となる機会がにわかに増えている。ビジネスのデジタル化が進む中、クラウド上のシステムを利用するユーザーの満足度が収益を直接的に左右する時代になってきた。オブザーバビリティを実現するソリューションを導入することで、ユーザー体験の質を可視化し、ビジネスを加速できるという。この領域で近年高い評価を得ているDatadog Japanの国本明善社長に、なぜ今オブザーバビリティが求められるのかを聞いた。
(取材・文/日高 彰  写真/大星直輝)

コンポーネントごとの監視はもはや無力

――Datadogは「オブザーバビリティ」のソリューションを提供しているということですが、従来のシステム監視とはどう違うのでしょうか。

 かつては、ハードウェア、ミドルウェアのコンポーネントごとに、お客様が最適なモニタリングの仕組みを選択して、それぞれが個別にきちんと稼働していることを監視するのが当たり前でした。しかしクラウドは、物理的なハードウェアに依存することなく、動的にリソースを割り当てることができる世界です。インフラを構成する一つ一つのコンポーネントを考えなくてもシステムが構築できるようになりましたが、その裏返しとして、コンポーネントごとに監視するという従来の仕組みが機能しなくなってきました。

 最初のころはクラウドで動かすものが小規模だったから何とかなっていたかもしれませんが、アプリケーションがマイクロサービス化して、細かいサービスの集団として動くようになり、他のクラウドのへのポータビリティが可能になって、さらにはサーバーレスのようにインフラ自体を意識すらしない技術も出てきています。結果として、システムの最終的なKPIは、コンポーネントごとの可用性や性能ではなく、それを使っているユーザーの満足度で測ることになります。

 そのためには、いろいろなところにまたがって動いている、“雲”の向こう側にあるシステムをすべて見ておかないと、エラーや性能の低下が発生したときどこに原因があるのかわかりません。従って、全体を観測できるようなソリューションが必要ですね、というところで出てきた考え方がオブザーバビリティです。

――クラウドを活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速しよう、というかけ声の高まりとともに、オブザーバビリティというキーワードもよく聞かれるようになりました。

 実は2年くらい前までは、「オブザーバビリティという言葉ははやりそうにないから、その中でAPM(アプリケーション性能管理)だけ取り出して訴求したほうがいいんじゃないですか」という意見をいただくこともあったんです。でも当社としては「いや、はやってなくても、うちはあくまでオブザーバビリティで打ち出していきます」と言っていたんですが、今年に入ったら他社さんもみんなオブザーバビリティと言い出して、早くから言っておいて良かったなと(笑)。
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外部リンク

Datadog Japan=https://www.datadoghq.com/ja/