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「弥生Next」で企業の経営支援まで展開する
弥生 代表取締役社長執行役員兼最高経営責任者(CEO)
武藤健一郎
取材・文/日高彰、大向琴音 撮影/大星直輝
2025/06/30 09:00

週刊BCN 2025年06月30日vol.2065掲載
(取材/大向琴音、日高 彰 写真/大星直輝)
中小企業にAIで貢献する
――前職は米Google(グーグル)日本法人でしたが、次のキャリアとして弥生を選ばれた理由を教えてください。前職の時代から、中小企業にAIで貢献したいと考えていました。弥生がターゲットとしている中小企業は人手が少なく、会社のミッションに集中し、バックオフィスなど本業以外の仕事はなるべく減らしたいという基本的な課題があります。バックオフィス業務はある程度定型化されており、ルーティーン作業はAIが強い分野ですので、AIを導入する目的が明確であり、適しています。
また、中小企業は結果が分かりやすいです。例えば、大企業でバックオフィスの人員が何千人といたとして、そのうち「従業員2人分の生産性が向上しました」となっても、(会社全体としては)効果が分かりにくいですよね。一方で、中小企業ではバックオフィス業務を1人の担当者が全て担っているということがありますから、生産性を改善することで2人目、3人目の社員を雇わずともよくなるなど、分かりやすい結果が出ます。日本の99%以上の企業が中小企業であり、労働人口の7割が中小企業で働いているという現状がありますから、貢献できる規模も大きいと考えています。
データも弥生の強みです。AIの世界では基本的にどれほどいいデータを持っているかが重要です。また、データの数だけではなく多様性が大切ですが、弥生は多くの中小企業を顧客に持っており、数も多様性もありますから、活用することで面白いことができるのではないかと考えました。
――弥生は1月に新たなミッション、ビジョン、バリューを発表しました。新社長としてどのようなことに取り組みますか。
ちょうど入社したころに、会社の新しいミッションである「中小企業を元気にすることで、日本の好循環をつくる。」が決まりました。ミッション構築のプロセスに私自身は入っていなかったのですが、24年に実施した全社員とのミーティングの際に、新たなミッションについて「結構大変なミッションとなるが、本当にやりますか」と問いかけました。社員からは「やりたいです」との声があり、ミッションの実現が期待されていることを実感しました。
思いだけでは会社は動きませんから、このミッションを実現するための会社をつくるに当たり、具体的に何をするかについて議論を進めてきました。今のやり方だけでは足りないので、既存の弥生ユーザーだけでなく、今まさに新設される法人も含めた、これまでとは違う層の顧客も獲得していかなければなりません。
しかも、競合相手が結構強く(業務ソフトの市場に)入ってきています。他社ではなくわれわれ自身が日本に好循環をつくりたいとなると、競合他社をきちんと意識して動かなければいけませんし、AIやクラウドをきちんと活用することが必要です。AIについては、製品に組み込むだけではなく、われわれ自身もAIを活用します。現在は、開発やコールセンターでの対応にAIを使っていますが、今後は全てのプロダクトや部署でAIを活用していきます。
組織の変更も行います。組織構造を事業部制に変え、クラウド製品群の事業部と、デスクトップ製品とクラウドのハイブリッドモデルを展開する事業部、FinTech(フィンテック)などの新しい価値を提供する事業部をつくります。
- ゼロベースでつくった新たなクラウド製品
- IT系のビジネスパートナーも広げる
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