弥生は1月14日、報道関係者向けの説明会を開催し、2024年10月に社長に就任した武藤健一郎氏が新経営体制の下での事業戦略を発表した。武藤社長は「AIを日常に埋め込んでいく」と述べ、同社の製品にAI技術を適用することで、中小企業の管理業務や経営判断の効率化を支援する考えを示した。
武藤健一郎社長(左)と前山貴弘副社長
武藤社長は経営コンサルティング会社などを経て14年に米Google(グーグル)日本法人に執行役員として入社。広告事業の責任者を務め、大手から中堅・中小まで幅広い企業に向けてマーケティング支援サービスを提供した。グーグルに在籍した期間は、効果的な検索キーワードを自動的に選定する機能など、AIによるサービス拡充が進んだ時期にあたる。
武藤社長は、「デジタル広告の世界では、AIをうまく使う顧客と、手作業でやっている顧客の間でパフォーマンスが分かれるようになっていた」と話し、AIの活用度合いは企業の業績に直結すると強調。人手や資金が限られる中小企業こそ、生き残るためにはAI活用が必須だとした。弥生の製品は多くの中小企業で日常的に利用されており、AIを組み込むことで業務の自動化・高度化を支援するとした。
同社ではデスクトップ版の「弥生会計」に加え、小規模事業者向けのクラウド会計ソフト「弥生会計オンライン」を提供しているが、25年はより高機能で中規模事業者にも対応できる新たなクラウド会計ソフト「弥生会計Next」の正式リリースを予定している。また、武藤社長は「会計以外の領域にも出ていく」とし、会計の周辺業務を効率化するサービスの充実を図っていく方針。前社長の前山貴弘・副社長執行役員は引き続き代表取締役を務め、管理業務と、会計ソフトの製品企画を主導する。
(日高 彰)