弥生は4月8日、クラウドサービスの新ブランド「弥生Next」の会計サービスとなる「弥生会計Next」を正式リリースした。弥生Nextの核となる製品の市場投入によって、同社のクラウド展開は本格化することになる。今後も機能拡張を進め、中小企業向けバックオフィス領域での存在感を高める方針だ。
(大向琴音)
弥生Nextは「“会計”を全ての中小企業が活用できる」「事業を継続・成長させることができる」を実現するために、▽バックオフィスの業務をゼロに▽データを利活用する▽会社の意思決定のパートナーとなるーをコンセプトとし、パッケージ製品で提供してきた領域のクラウドシフトを進めている。
弥生会計Nextは、「会計・経費・請求。誰でもカンタンまとめて効率化。」を提供価値に据える。誰もが簡単に利用でき、事業成長に不可欠な経営プラットフォームとして、完全自動化による業務効率化や経営支援による業績向上を目指す。
簡単さの部分については、シンプルな手順で初期設定できるようにしており、新設法人の場合も簡単に設定ができるような工夫が施されている。AIを活用した「明細ボックス」機能では、口座連携から仕訳登録までをスムーズに完結させることができる。このほか、集計表から個別の取引に掘り下げて確認したり、逆に個別の取引から集計表にさかのぼったりといった遷移もストレスなくできるという。
会計業務だけでなく、経費精算、請求業務、証憑の保存・管理といった周辺業務を一元的に管理できるのも特徴だ。外部サービスや金融機関との連携、税理士・会計事務所とのデータ共有も可能となっている。
また、経営支援につながる特徴的な機能として、「資金予測β版」を盛り込んだ。直近3カ月の取引データを基に、AIが向こう3カ月の資金繰りの予測や評価を提示する機能となっており、現状の可視化や改善のためのヒントを得られるという。AIを活用した機能については、今後も積極的に拡張していく方針だ。
パッケージ版の「弥生会計」を利用しているユーザーは、CSVでデータを出力し、弥生会計Nextに取り込むかたちで移行することが可能となっており、今後より簡便な移行方法についても検討する姿勢を示す。
販売については、まずは同社のネットワーク製品などをすでに取り扱っている既存のパートナーを通じて展開していく。
給与サービス「弥生給与Next」の新機能も公表され、新たに勤怠管理機能と労務管理機能を拡張し、それぞれ「弥生勤怠Next」「弥生労務Next」として提供する。これにより、弥生給与Nextにおいて、給与計算、年末調整、勤怠管理、労務管理の四つの業務を一元管理することが可能となった。
武藤健一郎 社長
武藤健一郎・代表取締役社長執行役員兼最高経営責任者(CEO)は同日の記者説明会で「(今回の発表は)まだスタートポイントだ。新しい機能を増やしていき、中小企業のバックオフィスに必要なニーズに対応するのが今後のミッションだ」と意気込んだ。