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2001年度の決算 米IT業界に回復の兆し

2002/01/28 16:06

週刊BCN 2002年01月28日vol.926掲載

 映画「パーフェクトストーム」にしばしばなぞらえられたIT業界の2001年は、まさに最悪の決算で幕を閉じた。それでも、第4四半期は多くのITベンダーが第3四半期よりも売上高を伸ばしており、回復の兆しも見えてきた。そして、何よりもマイクロソフトは、あいかわらず凄い。前年同期比18%増という売り上げだった。

 1月中旬、米国の主要なITベンダーは、第4四半期および2001年度の厳しい決算を発表した。一昨年公開の映画「パーフェクトストーム」にしばしばなぞらえられたIT業界の2001年は、パソコンのマイナス成長や電気通信業界の設備過剰などで大荒れとなり、赤字転落か良くても減収減益という、まさに最悪の決算で幕を閉じた。

 インターネットコンピューティングの標準プラットフォームとして高い評価を得ていたサン・マイクロシステムズは、1990年代後半から2000年まで続いた好景気とドットコムの隆盛で最も恩恵を受けたITベンダーの1社だ。通信事業者や金融が主な顧客で、それだけに今回の景気低迷の影響も大きかった。

 サンは、マイクロソフトらと同じように7月で始まり6月で終わる会計年度を採用しており、暦年で言う第4四半期は「第2会計四半期」となる。その売上高は前年同期比で39%というひどい落ち込みようだ。31億800万ドルの売上高で、損失はリストラ費用や株式投資ポートフォリオの評価損といった特殊要因を含めると4億3100万ドルに達した。

 ただ、サンによると、7月から9月の第1会計四半期に比べると第2会計四半期の売上高は9%増加しており、また5億1100万ドルもの経費を投じたリストラの効果が次第に現われており、最悪の状況は抜け出したという。

 世界初のマイクロプロセッサ「4004」誕生から30周年という記念すべき2001年を減収減益(売上高が対前年比21%減の265億ドル、純利益は対前年比70%減の36億ドル)で終えたインテルも、第4四半期は売上高が事前の上方修正をさらに上回る70億ドルに達した。例年、第4四半期は需要が旺盛になるという季節変動要因があるものの、前年同期比では依然として20%減だが、第3四半期からは7%増加し、今年につながる回復を示している。

 第4四半期および01年通期が赤字決算となったAMDも、第4四半期の赤字幅は1580万ドルにとどまった。クリスマス商戦向けのAthlonとDuronが好調だったという。フラッシュメモリ事業の失敗があって、新しい年の第1四半期も赤字は避けられない見通しだが、パソコン用プロセッサの好調は続くとみている。

 BMの2001年度決算も減収減益に終わったが、ビッグブルーが力を注ぐグローバルサービス部門は第4四半期もごくわずかな売り上げの減少にとどまり、堅調さを見せつけた。

 ウィンドウズXPや、ひと足先に米国でXboxを出荷しているマイクロソフトは、予想を上回る77億4000万ドルを売り上げ、実に前年同期比18%という増加を記録している。マイクロソフトだけは、あいかわらず凄い、というほかない。 (深田健次郎)
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