次世代BtoB、すなわちウェブサービスを成立させるための技術規約の確立を巡り、ebXMLとSOAPが激しくその覇権を争っている。実装の分野ではこれに並行して、さまざまな業界が閉ざされたBtoB市場の構築を独自に進めつつある。BtoB市場全体を規定するための大きな視点が必要とされている。

 BIC(Business Internet Consotium)は、インテル、HP、SAP、フォード、Pennzoilなど、各業界を代表する有名企業が名を連ねている民間団体。BtoBの標準化を促すために1年前に設立された。

 複数の標準化団体がそれぞれに推し進めているBtoB標準化作業は、業界依存の仕様に陥ってしまう危険性を孕んでいる。しかも、各業界が独自のBtoB市場の仕様設計と具体的実装作業を進めている。BICは、この現状をより統合化された水準へ導くための方向性を打ち出すことをその目的としている。

 各業界の特性に基づいた独自仕様の設計と実装が進められている実例は、電子業界のロゼッタネット、化学業界のCIDX(Chemical Industry Data Exchange)、自動車業界のCovisintなどがある。また、それぞれの業際を独自にインターフェイスするような業際依存型接続手順確立のための試みも、そこかしこで行われているようだ。

 BIC XML Covergence Workgroupでは、各業界ごとに確立しつつあるそれぞれのBtoB市場を横断的に網羅する汎BtoB市場を構築するための全体設計思想が、今それぞれのBtoB市場設計者に求められているとしている。

 この枠組を踏まえた上で、それぞれの業界が個々のBtoB市場を独自に立ち上げることで、業際をまたいだ市場間取引であるMtoM(Market to Market)の円滑な導入と立ち上げが期待できる。

 厳格な規約や思想を前面に押し出し、その方向性に全てのBtoB市場設計者を向かわせようとするような強制度の高い枠組みではなく、現状を取り巻く現実に沿ったもっと緩やかなものであるべきとするBICの考え方は、直近の具体的作業に追われている各BtoB市場設計者の実情と心情を考慮している。

 今後のMtoM市場創出に対して現実的かつ効果的な姿勢として評価できるものだ。技術概念モデルと業務概念モデルからなるBtoB市場設計に関する基本思想を昨年11月に発表したBICは、この基本思想を、BtoB市場設計のための要求仕様を策定する際の手引きとして定義している。

 しかも既存の標準化規約との連携によりその全体が構成される形となっている。OASIS、UN/CEFACT、W3Cという主要標準化団体との会合を予定しているBICは、今後のBtoB、更にはMtoMに向けた規約策定作業の主導権を握っていくようだ。

 市場における競合を排除するための戦略的武器として利用されることが多い標準化作業。競合を蹴落とした企業の推す規約が最終的に市場で標準となる歴史を繰り返している。

 しかしインターネットの時代に入り、市場がここまで無制限的に拡大してきている今こそ、BtoB技術における利害透過的な標準手続の確立が急務となってきている。(大平 光)