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コンパックコンピュータ ミラー氏、ブレードサーバーを語る

2002/03/04 11:00

「コスト削減に貢献する」

 コンパックコンピュータは、2001年12月に発表したITシステム構築のための新ビジョン「アダプティブ・インフラストラクチャ」に基づく第1弾製品として、ブレード型IAサーバー「Compaq ProLiant(コンパック プロライアント) BL ライン」を3月下旬に発売する。ブレードサーバー市場にはヒューレット・パッカード(HP)がいち早く参入、日本でもNECが製品を投入している。米ガートナー データクエストによると、ブレードサーバーは世界全体で02年に8万4810台、06年には100万台を超える市場に急成長するという。来日したインダストリアルスタンダードサーバ事業部メインストリーム製品担当本部のポール・ミラー本部長に、同市場参入への意気込みを聞いた。

 ――コンパックの戦略におけるブレードサーバーの位置づけは。

 ミラー
 コンパックのIAサーバービジネスには「ProLiant ML」、「ProLiant MDL」、「ProLiant BL」の3ラインがある。今回発表した「ProLiant BL」ラインの製品は、オプション、管理ソフトなどを合わせて、高密度のシステム構築を実現する。ターゲットはiDCやISP、ASPビジネスを展開する大企業が中心になるだろう。ただ、重要なのは顧客企業がアプリケーションとサーバーをどう組み合わせて何を行いたいか。ブレードサーバーが顧客ニーズに合うのであれば、積極的に提案をしていくことになる。

 ――米IDCは、05年に、ブレードサーバーがエントリークラスのサーバーのうち、出荷台数で約23%。金額で10%を占めると予測している。コンパックのラインアップに占めるBLラインは、05年にどの程度の比率を占めると見ているか。

 ミラー
 05年までの市場予測は非常に難しい。ただ、顧客企業が既存システムから新たなコンピューティング環境に移行するには、4-5年程度の期間要すると見ている。当社のML、DL、BLの各ラインも普及が進めば、約30%ずつの比率に分散するのではないかと予測している。

 ――ブレードサーバーのための新たな販売戦略は。

 ミラー
 コンパックのビジネスには、ダイレクトモデルとチャネルパートナー経由モデルがあり、この販売施策に変更はない。ただ、ブレードサーバーはシステムの拡張が非常に容易なため、初期導入後はオンデマンドでの受注が中心となる可能性が大きい。セットアップは顧客企業が独自で行える容易さだからだ。では、ビジネスパートナーは不要なのか、といえばそうではない。ブレードサーバー自体がまったく新しい次世代コンピューティング環境であり、ビジネスパートナーは顧客企業のコンサルタント的な役割を果たすことになるだろう。北米、欧州ではすでにこのビジネスモデルが成功を収めている。

 ――ブレードサーバーの標準化についてどのように考えているか。

 ミラー
 コンパックは、業界標準の策定については前向きな姿勢だ。あくまで顧客が中心にあり、顧客ニーズに沿った形での標準化が望ましいと考える。顧客企業の既存システムのアーキテクチャを尊重することが重要だ。インターフェイスはもちろん、管理ツールでもチボリに対応したり、SOAP、XMLと連携するなど、よりオープンスタンダードに則した対応を行っている。

 ――HPが物理的なインターフェイスでcPCIを採用しているが。

 ミラー
 cPCIの採用には3つの問題点がある。1つ目は、高密度のシステム構築が実現しにくい点。2つ目はストレージネットワークと接続する際に、より大規模な拡張がしずらくなる点。3つ目は、高度なアーキテクチャ設計のため市場がニッチにとどまるという懸念だ。

 ――標準化に向けて他社との協調は行っているのか。

 ミラー
 ブレードサーバーのアーキテクチャについては、IBM、デルコンピュータなどと話し合う方向にある。焦点は、インターコネクタの標準化についてだ。ただ、メカニカルインターフェイスの標準化は、各社の製品差別化につながるものであり、難しいかもしれない。

 ――BLシリーズの今後のラインアップは。

 ミラー
 今年度第2四半期に2プロセッサ、年末までには4プロセッサ製品を投入する計画だ。

 ――PCサーバーの価格が低下傾向にある。米ガートナー データクエストの調査では、00年に66万円だった平均価格が、02年末には50万円になると予測している。どこで利益を確保していくのか。

 ミラー
 ブレードサーバーの最大の利点は、導入企業のコスト削減に大きく貢献できることにある。
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