家庭用パソコンリサイクルの回収率は、たった7.1%?!――。一般利用者が使用済みパソコンをリサイクル目的で持ち込む場所として、「メーカーの保守拠点などの施設」を選ぶ割合はわずか7.1%であることが、コンピュータ・ニュース社BCN総研の調査で分かった。2003年10月から実施される予定の家庭用パソコンリサイクルの合格ラインは「80%」。回収義務を負うメーカーが回収率アップに頭を抱えている。

 BCN総研では、「家庭内不要パソコンのリサイクルに対する消費者意識」の調査を実施した。モニタ会員6172人および一般不特定利用者を調査対象とし、総数1843件の有効回答を得た。

 このなかで、使用済みパソコンをリサイクルに出す場所(指定引取場所)として、保守拠点や営業所などのメーカー施設が「持ち込むのに便利」と答えた利用者は、わずか7.1%に過ぎなかった。

 半数近い47.6%の利用者は、「パソコン販売店がリサイクル目的で持ち込みやすい場所である」と回答。同じ質問で「自治体の施設」と答えた利用者は24.5%、「宅配便の営業所」と答えた利用者は17.0%だった。

 男女別では、指定引取場所として「パソコン販売店」を選んだ男性が43.8%であるのに対し、女性は52.6%と、男性より女性の方が「パソコン販売店」を選ぶ比率が高い。

 また、売却など譲渡以外の使用済みパソコンの排出方法として、半数近い46.3%の利用者が「メーカーによるリサイクル」が適当だと答えた。自治体によるリサイクルが適当だと答えた利用者も23.2%おり、メーカーにせよ、自治体にせよ、リサイクルが必要だと考える利用者は全体の69.5%に達した。残り26.9%は、従来通り、自治体による廃棄物回収が適当だと回答している。

 電子情報技術産業協会(JEITA)パソコン3R推進室の海野隆室長は、「メーカーの拠点が消費者にとって遠い存在である点は残念だ。宅配便の協力を得られたとしても、メーカーの拠点と合わせて24.1%の利用者しか『便利だ』と感じていない。パソコン販売店が消費者にとっていかに身近な場所であるかを改めて理解した」と話す。

 メーカーは、家庭からの排出パソコンの回収窓口として指定引取場所を設置する。これまでは、メーカーの保守拠点と宅配便の営業所の両方を活用する方向で準備を進めてきた。だが、これでは回収率の目標値を達成できない。利用者の半数近い47.6%が「便利」だと感じる販売店が抜け落ちているからだ。

 海野室長は、「パソコンリサイクルは、業界を挙げて取り組むべき課題。販売店の協力が得られれば、メーカー・宅配便の24.1%に、販売店の47.6%が合わさり、7割の利用者に『便利』だと感じてもらえる回収拠点ができる。これに加えて、宅配便による軒先回収を実施すれば、回収率を大幅に高められる」と意気込む。

 現に、利用者のリサイクル意識は非常に高まっている。図2で示したように、69.5%の利用者がリサイクルを重視する。内訳は、23.2%が「自治体がリサイクルするべき」、22.0%が「指定引取場所に持ち込んだあとメーカーがリサイクルすべき」、24.3%が「宅配便による引き取りのあとメーカーがリサイクルすべき」と考える。メーカーによるリサイクルが適当だと考える利用者も46.3%に達した。

 「利用者の半数近くはメーカーがリサイクルすべきだと考えている。回収する仕組みさえ上手く構築すれば、どんなに割り引いても50%の回収率は堅い。利用者の7割はリサイクルの意識が高い。合格点に達するには、広報活動に力を入れると同時に、やはり販売店の協力が不可欠」と訴える。

 実際問題として、パソコンリサイクル実施以降、利用者が使用済みパソコンを販売店に持ち込むのは必至。利用者の51.2%が「現金払い」を望んでいることを考えれば、「近くのパソコン販売店でいくらか払ってメーカーにリサイクルさせよう」と、便利さを求める利用者が多数を占めることは明らかだ。

 海野室長は、「販売店に『社会正義のために無償で回収して下さい』とは言わないが、一方で『手数料収入』を当てにされても困る。新品パソコンは販売時徴収である。このため、排出時に現金が発生する既販パソコンはいずれ消滅し、リサイクル料をメーカーに代わって徴収する手間は軽減する」と話す。

 JEITAでは、今年6月までにメーカー間の足並みを揃え、販売店や自治体との協議を始める計画だ。「解決すべき問題は山積しているが、回収率向上に向けて、業界一丸となって取り組むべき」と、販売店の協力を求めている。