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網屋 ISMS事業でビジネス拡大へ

2002/07/15 16:24

週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載

 網屋(伊藤整一社長)は、セキュリティポリシー「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」の実装、運用を請け負う事業を立ち上げる。ISMSは、経済産業省の外郭団体・日本情報処理開発協会が認定するセキュリティポリシーで、英国のBS7799規格を手本にしている。国際規格のISO17799と同格とされている。網屋は、情報システム運用受託を事業の柱にしており、この一環として、ISMSをはじめとする企業のセキュリティの実装および運用の受託にも力を入れる。

今年度売上15億円目指す

 ISMSは、2002年4月から認定が始まり、すでにNECや富士通など大手ベンダーを中心に取得が進んでいる。ISMSは、セキュリティポリシーの策定、実施・運用、監査、改善を継続的に繰り返し、情報セキュリティ水準の向上を図る仕組み。

 網屋の桜井隆取締役は、「ISMSは“取得して終わり”ではない。大手企業の情報システム部門は別として、中堅以下の企業では、実際に運用するのに手間がかかる。当社はこの部分を運用受託し、企業の負担を軽減しつつISMSの質的向上を図る」と話す。

 ISMSでは、継続的に見直し、改修をして、その都度社員教育を実施し、新しい基準に基づく運用を手がけなければ意味がない。「雪印はHACCP(総合衛生管理製造過程)を取得していたが、運用にミスがあったために事故を起こした。会社や組織、周囲の環境は常に変化する。そのため、定期的にセキュリティポリシーを見直し、実際に運用する体制づくりを受託していく」(桜井取締役)考え。

 同社は、IBMの外部開発パートナーで、主にIBMから回ってきたアウトソーシング事業を受託してきた。伊藤社長は、「プロジェクトの計画・策定や進行管理を請け負うことが多く、今回のISMSの運用受託は、これまでのノウハウの延長線上に位置づけている。ISMSと同様に、プロジェクトマネージメント(PM)の仕事も急増している」と話す。

 昨年度(02年3月期)の売り上げは前年度比60%増の10億円、経常利益500万円。

 昨年度は、ISMSやPMなど新規の運用受託案件の立ち上げのため、人員を25人増やして69人(派遣社員含む)にした。このため社内教育などの先行投資が利益を圧迫した。今年度(03年3月期)の売上目標は15億円。経常利益は「事業の立ち上がり具合で決まる」(伊藤社長)という。

 今年度の売上構成比では、ISMSおよびPM関連の受託運用で4億円、システム構築で4億円、運用・保守の受託で3億円、ウェブ系の受託事業で4億円を見込む。

「96年の起業当時は、売り上げの9割をIBMからの受託が占めた。社員数もわずか6人。現在は、今年度売り上げの5割を当社独自の攻めのビジネスが占めるまでに成長した。販売面でも、直販が5割、パートナー経由が5割とバランスがよくなった」と、独自商材による攻めの経営を進める。
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