ワーム型ウイルスが猛威ふるう

 トレンドマイクロ(スティーブ・チャン社長)は、2002年の国内ウイルス感染被害の年間レポート(02年1月1日-12月15日の集計値)を発表した。これによると、被害総件数は過去最高の5万615件で、昨年の2万5644件と比べて約2倍になった。同社の調べによると、今年の特徴は、ワーム型ウイルスが主流になり、活動が多様化したウイルスが長期間にわたり流行した点だ。また、今後は、件名や本文を工夫するといった「ソーシャルエンジニアリング的手法」のウイルスが増加するとみている。

 ウイルス別で被害件数が最も多かったのは「WORM_KLEZ(クレズ)」。被害件数は、亜種も含め1万6683件にのぼった。「クレズ」は、今年4月から8か月間連続で被害件数が1位だったという。

 「クレズ」に続いて被害件数が高かったのは、「WORM_BADTRANS.B(バッドトランス.B)」で7231件。3位は、今年9月に発見された「WORM_BUGBEAR.A(バグベアー)」で、1790件の被害件数に達した。

 トレンドマイクロの調べによると、02年はワーム型ウイルスが主流で、活動が多様化したワームが長期間流行した1年だったという。「クレズ」や「バグベアー」などは、ダイレクトアクション活動や共有ドライブへのワーム活動、差出人詐称、ウイルス対策ソフトの強制終了など、発見後しばらく経過してから感染が増大し、感染被害が減らない状況だった。ほかのウイルスでも、不正アクセスの準備をするワームの流行や、ウェブ経由のウイルスの流行、亜種が続出したことなどが目立った。

 トレンドラボ・ジャパン・アンチ・ウイルスセンターの岡本勝之主任は、「ブロードバンドの普及によるインターネット接続の長時間化、家庭や小規模レベルでのネット化の増加によってウイルスに遭遇する機会が増え、ワームを防ぎにくくなっている。また、感染が感染を増やすという悪循環が起きている」と話す。

 今後の傾向については、セキュリティホールの悪用や、件名や本文を工夫して人の心理をついた「ソーシャルエンジニアリング的手法」のウイルスが増加するとみている。最近では、怪しい英語の件名で書かれたメールを開かないという意識が高まってきているが、「WORM_FBOUND.C(エフバウンド)」のような日本語の件名をもつウイルスも出回っている。「エフバウンド」の被害件数は243件だった。

 年末年始は、「少なくても昨年並みの被害件数とみている。この時期はメールの流用が多く、とくにグリーティングカードに見せかけたウイルスには注意しなければならない」と指摘する。

 来年については、「今年以上に被害件数が増加するのではないか」と分析する。