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TKC 自治体向けのASPサービス本格化 栃木県内のデータセンター活用

2003/12/15 19:39

週刊BCN 2003年12月15日vol.1019掲載

 現在TKCでは、全国258市町村から住民基本台帳システムをはじめとする基幹系システムを受注している。しかし、市町村合併でこのうち約130市町村が合併協議会に参加しており、協議会の数では約70団体になるという。仮に合併が順調に進めば、顧客数の減少は避けられない状況だ。これを受けて同社では、これまでの市町村を単位とした営業手法に加え、新しくASPサービスによる業務システムの受注を本格化させる。これにより、顧客数減のインパクトを吸収し、売上増に結びつける考え。

 角一幸・専務取締役地方公共団体事業部長(=写真)は、「市町村数を単位とした営業が“国とり合戦”の地上戦だとすれば、ASPを活用した業務単位の営業は、“業務の一本釣り”による空中戦」と話す。「ASPであれば、行政区域に関係なく自治体の業務を単位として受注できる。また、市町村が個別に業務システムを開発するより、ASPサービスの方が割安にサービスを受けられる」という。

 TKCでは、すでに「市町村課税状況等の調べ」、「公共施設案内・予約」、「第二次バックアップサービス」などのASPサービスを始めている。2004年1月からは、「ウイルス対策サービス」を始め、来年4月以降、「電子申請・届出」のASPサービスを新しく始める。“市町村”単位ではなく、役場の“業務”単位で受注する営業を大幅に強化する。市町村を単位とした営業では、基幹系システムをベースとした市町村の獲得数を競い合う傾向がある。だが、合併で市町村数が現在の約3300から05年3月末までに約2000以下に減少するとの見方があるなか、現状よりも顧客である市町村数を増やすのは難しい。

 今後は、ASPサービスの種類を増やすことで、行政区域に関係なく、自治体のさまざまな業務を受注していく方針。ASPサービスでは、TKCが、今年10月、総額約34億円を投じて栃木県内に開設したデータセンターを活用する。同データセンターは、11月28日に、民間事業者では初めて、LGWAN(総合行政ネットワーク)に接続するホスティングサービスおよびアプリケーション・コンテンツサービス提供事業者として、総務省の外郭団体の地方自治情報センター(LASDEC)の審査に合格した。
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