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日本通信 データ通信比率が急拡大 独自技術で付加価値高める

2004/01/12 20:19

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 日本通信(三田聖二社長)は、2004年度(05年3月期)、売上高に占めるデータ通信の構成比を7割程度まで高める。昨年度(03年3月期)は、データ通信の比率が2割程度しかなかったが、今年度(04年3月期)は売上高の半分にまで拡大する見込み。企業の移動体通信の利用が進んでいることに加え、同社の新技術を活用した付加価値サービスが市場に受け入れられたことで、音声からデータ通信への移行が急速に進んだ。

 同社は、移動体通信事業者から回線を卸値で仕入れ、独自の付加価値をつけて販売する仮想移動体通信事業者(MVNO)の事業を手がけている。これまでは、主に企業で使う複数の携帯電話料金の請求書を一括して送付するなど、携帯電話の音声サービスに関する付加価値サービスを提供してきた。

 だが、今年度に入り、PHSや無線LANを使ったデータ通信サービスに本格的に参入。これにより、昨年度の売上高全体のうち2割程度しかなかったデータ通信サービスの売上比率は、今年度は半分にまで高まる見込み。昨年度の連結売上高は81億円、経常利益が2億円だったが、今年度は、音声サービス事業を縮小させ、無線によるデータ通信サービスへの移行を進めたため、売上高、経常利益とも前年並みになる見通し。

 無線LANサービスでは、NTTコミュニケーションズなど10社あまりの事業者の接続ポイントを使えるローミングサービスを展開。昨年末までで無線LAN接続ポイントを全国3000か所に増やし、今年度末には4000-5000か所に増やす。来年度は1万5000か所を目指しており、接続ポイント数では国内最大規模となる。ローミングでは、各社のIDを日本通信が独自の技術で統合し、ユーザーは1つのIDのみで複数の事業者の接続ポイントを使える。

 一方、PHSによる接続サービスは、米国に設立した100%子会社でソフト開発のコンピュータ&コミュニケーション・テクノロジーズ(CCT)を通じて、通信速度を2倍程度に高める倍速技術を開発した。PHSの規格上の通信速度は128Kbpsだが、この技術を使えば、NTTドコモの第3世代携帯電話「FOMA」と同程度の速度まで高まるという。これら新技術の開発には、売上高の約10%に相当する投資を行った。

 今後は、この倍速技術を応用し、マイクロソフトのグループウェア用の倍速技術、シーベルのCRM(顧客情報管理)システム用の倍速技術などの開発を進める方針。これにより、これら業務アプリケーションを使ってシステム構築を手がける国内システムインテグレータにも、「違和感なく、自然と当社の通信サービスが受け入れられ、利用者数の拡大に結びつけられる」(福田尚久・執行役員)と話す。
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