米アップルコンピュータの音楽配信サービスの成功を受け、大手IT企業が同様のサービスを計画するなか、音楽や映画、ゲームなどのデジタルファイル配信方式を統一しようという動きが出てきた。ただ、巨大な市場が絡む技術だけに各社の思惑が錯綜しており、実際に標準方式が統一されるかは微妙だ。

 アップルコンピュータの音楽配信サービス「アイチューン・ミュージックストア」は、昨年4月以来、驚異的な販売実績を記録し続けており、今年4月までに1億曲の販売を見込んでいる。

 この成功を受け、米マイクロソフトも今年中に同様のサービスに乗り出すと報じられているほか、米デル、米ヒューレット・パッカードも近くサービスを開始するもよう。また米小売チェーン最大手のウォルマートも同様のサービスを準備する一方で、リアルネットワークスが音楽配信サービスのリッスン・ドット・コムを買収、配信事業に参入を果たしている。

 サービス乱立が進むなかで問題になりそうなのが、ファイルの互換性の問題。どのサービスも著作権保護技術を採用しているが、同技術に互換性がないため、ダウンロードしたファイルを専用再生ソフトや専用機器以外では利用できない。友人同士でのファイルの貸し借りが困難になるわけだ。

 そこで、合法的なファイル交換を可能にしようという動きが出始めた。

 その1つが、昨年12月に設立された「コンテント・リファレンス・フォーラム(CRF)」と呼ばれるコンソーシアム。CRFには、米マイクロソフト、ベリサイン、ARMが発足メンバーとして参加。日本からはNTTが参加している。

 CRFが提唱するのは、ファイルそのものの交換ではなく、ファイルの添付データを交換する仕組み。添付データには、ファイルをダウンロードするための手順や使用許諾契約に関するデータが含まれている。

 具体的には、友人にファイルのコピーを送ろうとすると、まずこの添付データが転送される。添付データを受け取った電子機器は、添付データに記されたインターネット上のサーバーにアクセス。そこで、その電子機器自体が再生可能なバージョンのファイルを取得する。使用するハード、ソフトが何であれ、再生可能なファイルがダウンロードできるわけだ。また、使用許諾書の内容次第で、ダウンロードする前に課金する仕組みを構築することも可能という。

 一方、ニューヨークタイムズ紙によると、インテル、ノキア、サムソン、東芝、松下電器産業などが、対立するコンソーシアム「プロジェクト・ハドソン」の設立を進めているという。同コンソーシアムは、2月に詳細を正式発表する予定という。

 こうした動きが今後一本化するのか。それとも先行するサービスや規格が業界標準となるのか。IT業界だけではなく、音楽、映画、ゲーム業界を巻き込んだ規格統一の試みだけに、まだまだ予断を許さない状況だ。(湯川鶴章)