全国の中堅・中小システムインテグレータを組織する全国地域情報産業団体連合会(ANIA)の辻正会長(中部コンピューター代表取締役相談役)は、地方のIT需要として期待されている電子自治体ビジネスについて、都道府県の知事に対して地元発注の要望を直接伝達することや、技術基盤強化のために会員同士の連携強化を図ることなどを明らかにした。これらを今年の新しい施策を打ち出すことで、地域のシステムインテグレータの振興を推進する。

 ANIAの来年度(2005年3月期)の基本方針は、各地方における知事との直接交渉、会員同士の横の連携、営業力の強化の3つを掲げる。会長に就任して丸8年を迎えた辻会長に話を聞いた。辻会長は、就任後の8年間で、ANIAの会員企業数を約1500社から約2500社へ約1000社増やすなど、強い指導力を発揮している。

 ──IT業界は東京偏重型で、地方のシステムインテグレータは苦しい状態に置かれていると聞きます。

 地方分権の流れは、電子自治体の進展と同時進行で予想以上に速く進んでいる。都道府県の知事が指導力を発揮して、e-Japan計画で描かれているようなIT先進県を目指して整備を進めている。必ずしも地方のシステムインテグレータが苦しい状況にあるというわけではない。

 全国約2500社のANIAのメンバーが、今年最も力を入れるべきことは、電子自治体ニーズを獲得するために、各都道府県のトップとの太いパイプをつくること。

 昨年来、ANIAが橋渡し役となり、ANIAを構成する全国25団体のうち、約半分の団体が地元の知事と直接交渉するパイプ作りに成功した。以前は、課長クラスまでしか会っていないケースも多かった。今年は、このパイプをさらに太くすると同時に、すべての団体がそれぞれの地元の知事と直接交渉する基盤づくりを進める。

 ──知事とのパイプを作っても、大型受注に応える技術力も必要になるのでは。

 自治体から仕事を取るとき、まず言われるのが「技術的な基盤はあるのか」ということ。だが、その質問は的を外れているように思う。どんなプロジェクトでも技術的な基盤はもちろん必要だが、それが全てではない。技術的な基盤は提携などで補うことができる。そうした関係を構築していれば問題はない。そうしたことを踏まえて、地方の仕事は、納税者である地方のIT企業に発注すべきだ。われわれ会員の側も、仕事の規模が大きいからと尻込みせず、積極的に受注することが大切だ。

 受注したあとは、大手システムインテグレータの技術協力を得て、仕事を完遂すればいい。そうすることで、われわれにノウハウが蓄積できる。大手システムインテグレータを地方から排除するということではなく、彼らからノウハウを得て、共同で仕事を進めるべきだ。また、会員同士の連携を活用して、共同で受注することも大切。この横の連携は、今年の2つ目の重点施策として位置づけている。

 ──具体的な連携事例は。

 先行事例として、中部コンピューターなど岐阜県の地場IT企業4社が、共同で受注する体制を昨年末までにつくった。また、会員会社7社が連携して、今年1月、ベトナムの首都ハノイにソフト開発の合弁会社をつくった。ソフト開発のコスト競争力を高めるのが狙いだが、国内外を問わず、会員同士がうまく連携することで、事業拡大を図ることができる。

 3つ目は営業力の強化。注文が来るのを待っているのではなく、みずから積極的に自治体や顧客先に出向き、商談や提携話を進める力量がますます求められている。今が、地方分権の時流に乗った積極的なビジネス展開を行うチャンスだと考えている。