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コンピュータソフトウェア著作権協会 会員のビジネス拡大支援 2004年度に会員企業500社目指す

2004/01/26 20:19

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、会員企業のビジネスチャンス拡大に向けた活動を強化することで、2004年度の会員社数を500社へと倍増を目指す。これまでACCSは、ソフトウェアの違法コピーを摘発する活動が注目を集めていたが、セキュリティ事業の強化や海外進出など、「もっと前向きで戦略的な活動」(久保田裕専務理事=写真)の展開に力を入れる。

 ソフトウェアビジネスは、違法コピー防止や情報モラルの向上といった環境基盤がないと成り立たないビジネス。ACCSでは、この基盤整備を通じて、新しいビジネスチャンスの創出に力を入れていく。具体的には、違法コピー防止や情報モラルを維持するための技術的な需要が発生したときには、会員会社のなかでセキュリティ技術をもつ企業に参画を促し対策を講じる。また、著作権を管理する需要が発生したときは、関連するノウハウをもつ会員企業から協力を得る。それらに加えて、昨年10月に、中国・上海に開設したACCSの支局をベースに、中国でソフトウェアビジネスを立ち上げる会員企業の支援活動も行う。

 セキュリティは、技術革新がめざましい分野であり、「新しい技術が出てくれば、ユーザーの理解を得ながらACCSとして積極的に普及促進に努める」(久保田専務理事)と、先進技術への対応に対して前向きな姿勢を示している。さらにACCSでは、著作権管理に関するビジネスの研究も進める。現在、企業内不正コピー対策委員会やネットワーク違法問題対策委員会など7つの委員会があるが、来年度は、これに加えて著作権管理ビジネスのためのプロジェクトを立ち上げ、将来的には、こうした活動を担当する委員会をつくることも検討する。

 海外展開では、昨年10月に設立した上海支局を中心に、中国の教育機関や国家版権局(著作権関連業務を行う行政機関)との関係を密接に保つことで、中国におけるソフトウェアビジネスの環境づくりに協力する。2月には、漫画家の松本零士氏による著作権保護を訴えるポスターを日本語、中国語、韓国語などで制作して、中国をはじめとしたアジア地区での啓蒙活動に力を入れる。

 「中国などアジアの教育機関や関係官庁と、著作権保護という切り口で協力関係を強化することで、結果的に会員企業のビジネスにも大いに役立つ」(同)と、国内だけにとどまらず、アジア地区での活動も積極的に進める方針。こうした活動を通じて、現在約270社の会員社数を来年度は500社に増やすことを狙う。違法コピーの摘発では、今年4月をめどに、新しく「公正流通専門官」(仮称)の役職を設け、数人の専門チームで、ソフトウェア・コンテンツ流通の監視体制を強化することを決めている。
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