「価格」、「セキュリティ」などへの考慮、そして独自規格を進める中国では、Linuxの導入は国策として推められている。すでに、多くの海外大手企業が中国市場への参入を果たすなかで、先日、米レッドハットが本格的な中国進出計画を明らかにした。これが中国Linuxにとって大きな一歩となるかどうか、大きな注目を集めている。

 Linux最大手のディストリビュータであるレッドハットの計画によれば、まず北京にオフィスを開設し、その後上海など大都市で事業を拡大していく予定。さらに、中国市場での提携相手として、北京中科紅旗軟件技術有限公司(中科紅旗)と協議を進めているという。

 中科紅旗は、2001年3月には中国電子情報産業発展研究所(CCID)グループのベンチャーキャピタル部門からの資本注入を成功させ、Linuxに基づくOSとアプリケーションソフトの開発や普及に力を入れており、現在までに「紅旗」といえば中国Linuxの代名詞ともなっている。

 中科紅旗は、すでにデル、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、聯想(レジェンド/レノボ)などと提携関係にあり、さらに今年に入り日本オラクルのLinux関連子会社であるミラクル・リナックスと、日中共通のLinuxディストリビューション「Asianux(アジアナックス)」の共同開発と推進で戦略的提携を結んでいる。そして、このベースとなっているのが、レッドハットの最新製品「Red Hat Enterprise Linux 3」でもある。

 中国Linux産業において、最も影響力のある企業が、今年すでに2件目の大型提携を結ぼうとしているところに、04年の中国Linuxにかける期待の大きさがわかる。

 こうした見方の裏には、期待されながらいまだ大きな一歩を踏み出せない中国Linuxへのもどかしさがある。

 北京市政府が国産の正規版ソフトウェアの購入を促進し、民族ソフトウェア産業の成長をサポートすると発表したのは01年末。当時は、中国市場のポテンシャルからも、世界のLinux産業を活気づけさせるだけのインパクトがあった。

 その後、急成長を遂げている中国ソフトウェア産業では、Linux分野で海外大手との提携による研究センター設立、人材育成などに注力してきた。

 しかし、中国が「脱マイクロソフト」を叫んだような当時の勢いは徐々に陰りを見せ始めた。現在、世界的なLinuxの普及状況と比べても、中国市場はそれに乗り遅れている感さえ受ける。

 そんななか、世界最大手のレッドハットの中国市場進出は、世界のLinux産業における中国市場の魅力が依然衰えていないことを裏づけている。中国Linuxが一気に息を吹き返す可能性もささやかれている。(サーチナ・吉田雅史)