ニュース

グーグルが中国語の広告サービス開始 中国首位の百度へ攻勢

2004/03/01 20:24

週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載

 検索エンジン最大手の米グーグルは、中国語による広告サービス「AdWords(アドワーズ)」を開始した。2003年の中国でSEM(検索エンジンマーケティング)を含めた検索エンジン市場は、前年比127%増の5.2億元規模に達した。現在、急成長を遂げる中国オンライン広告の中でも、検索広告は高い注目を集めている。

 グーグルのアドワーズは、広告主がターゲットに合わせたキーワードを自由に選択、広告がクリックされた回数で課金するサービス。提供する製品やサービスを探しているユーザーにターゲットを絞り広告を表示できるため、広告主にとっては最大の効果で利益を上げることができる。

 グーグルは各国の市場ですでに主導的地位にあるが、中国市場では少し様相が異なっている。中国ITの専門リサーチ会社である「艾瑞市場諮詢(iResearchi)」が発表した検索エンジン利用状況に関する調査で、グーグルは中国ユーザーの利用率で第2位となった。そのグーグルを抑えて第1位となったのは、世界最大の中国語検索エンジンである「百度(Baidu)」。グーグルを17.5ポイント上回る87.5%に達している。

 百度は、グーグルのアドワーズ同様に「百度競価排名」という検索広告サービスを展開。同サービスは、ヤフー中国や、網易(NETEASE)、捜狐(SOHU)、などの大手ポータルサイトの検索にも導入されている。百度のサイトでは1日400万件の検索が行われており、中国の検索サイトとしては圧倒的な存在感を見せつけている。

 こうした背景から、グーグルが今回のサービス開始によって、急成長する中国市場でのシェア拡大と新規顧客の獲得を狙っていることは確かだ。中国のオンライン広告は、インターネット市場において今後の成長ポイントとされるほど急成長を遂げている。

 03年、中国オンライン広告の市場規模は前年比120%増の10.8億元に達した。しかし、その成長の裏では、低品質で目障りなバナー広告やポップアップ広告の氾濫がユーザーの不評を買っているとされている。

 サーチナが刊行する『中国IT白書2003─2004』によれば、ユーザーのオンライン広告を「見る」、「見ない」のクリック率の割合は01年の調査以来、ほぼ同様のまま推移している。近年、オンライン広告の形態や数量が早いサイクルで変化しているのにも関わらず、その効果は得られていないことになる。それだけに、現在、検索広告が世界的に注目される中で、米国に次ぐインターネット人口を擁し、潜在力のある中国市場での需要は一層大きい。

 今後は、中国市場を舞台に、世界最大手のグーグルと中国語最大の検索エンジン百度が激しいシェア争いを繰り広げることになる。そして、この争いがさらに多くの広告主を引きつけると予測される。(サーチナ・吉田雅史)
  • 1