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活気づく04年の携帯電話産業 「ケータイ国際フォーラム」に2日で3万6300人

2004/03/29 20:24

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 ユビキタス社会実現のためのキー・ツールとして、携帯電話とその周辺市場が活気づいている。3月17、18の両日、京都市内で開催された「第3回ケータイ国際フォーラム」には延べ3万6300人が来場し、製品・技術の展示やIT企業トップの講演に熱い視線が注がれた。

 ユビキタス関連の産業について、三洋電機の桑野幸徳社長は、「2003年の44兆円が05年には58兆円に拡大する」とし、経済成長のけん引役として期待されているとの認識を示した。

 そのキーとなる携帯電話について、メーカー各社は、日本の携帯電話市場が消費者の感性に訴求する製品を中心に独自のスタイルで拡大していると分析。これに合わせ、セット・部品メーカー各社が、動画対応の高精細LCDや有機ELなどのキー・デバイスの開発成果を披露した。松下電器産業の櫛木好明常務はAV(音響・映像)機能の進化が続くとしたうえで、「携帯電話向けカメラは05年には500万画素も登場、ディスプレイも今秋以降は毎秒30フレームの動画再生能力を持つものが出てくる」と予想した。

 東芝の岡村正社長は、「10月にはモバイル放送のサービスが開始される。有効なものとするには弱点である電源の改良が必要で、来年には専用の燃料電池を製品化したい」と表明。さらにユニークな製品で携帯電話部門を強化中の三洋電機も「03年度3450億円だった売上高を、05年度には5000億円に拡大させる」(桑野社長)計画を明らかにした。

 一方、キャリア側からはKDDIの高橋誠執行役員が、パケット料金定額制によりユーザーのアクセスが増加するなど、行動に変化が生じていることを指摘。「異業種とのコラボレーションを容易にすることで、無料コンテンツやウインドーショッピングを楽しむところまで含めた携帯電話の世界観を作れば、通信という分野から脱皮したパーソナル・ゲートウェイになる」との報告がなされた。「個人・家庭の変革が、企業の戦略にも発展していく」(グレッグ・ピアーソン・インテル共同社長)、「変化をセンシングし、企業競争力を高める端末になりうる」(内永ゆか子・日本アイ・ビー・エム常務執行役員)などといった同様の認識も示され、携帯電話を1つの核としてユビキタス社会の方向性が模索されていることを証明することとなった。

 携帯電話の市場が急拡大している中国からは、天津経済技術開発区の李勇・管理委員会主任が04年の中国携帯電話市場が前年比1000万台増の7000万台になるとの見通しを示した。また、モトローラ(中国)電子有限公司の時大鯤・総裁は、「単なる通話に飽き足らず、買い替え需要も出てきている。日本企業は携帯電話向けのアプリケーションを提供できる」とし、アジアという枠組みの中でもビジネスチャンスが拡大していることを指摘した。
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