これまで英語中心の開発戦略を続けてきた検索エンジン大手の米グーグルが、ここにきて日本を含む海外戦略に本腰を入れ始めた。日本では東京・渋谷に研究開発拠点を設け、米国での各種サービスを日本風にアレンジして提供する考え。グーグルの日本戦略は国内IT産業にどのような影響を与えるのだろうか。

 来日した米グーグルのウェイン・ロージング技術担当副社長によると、10人から20人の技術者を採用し、2、3か月のトレーニングを施したあと、国内向けの各種サービスの開発を始めるという。

 米国内のほとんどのサービスを日本でも始めるというのが基本方針だが、「ローカライズというより1から作り直すこともある」(同副社長)という。米国内のサービスで日本にないものといえば、ショッピングサーチやニュースサイトなどがある。

 ショッピングサーチは、ネット上で購買できる商品を写真付で検索できるというもの。検索結果のページの見た目は、楽天市場のショップ横断検索のページとほとんど変わらない。しかし楽天の検索対象が参加ショップだけなのに対し、グーグルはネット上のすべてのショップの検索結果を表示する。

 グーグルニュースも見た目はヤフーニュースとほとんど変わらない。しかしヤフーが報道機関から購入したニュースでページを構成しているのに対し、グーグルはネット上のニュースから見出しと最初の段落を自動的に集めてきて表示している。あくまでも検索サービスの1つという考え方だ。運営コストは当然、グーグルの方が圧倒的に低いとみられる。しかし米国内での人気はグーグルニュースの方が上だ。

 こうした検索技術の利用が認められるべきかどうか。司法判断は別として、業界内で敵を作ることを嫌う日本企業は技術的に可能であってもこうした手法を敬遠してきた。「日本の文化に合ったサービスにする」と同副社長は語るが、どのようなサービスを始めるのか注目されるところだ。

 またグーグルは、1ギガバイトという膨大な記憶容量を無料で提供するウェブメールサービス「Gmail」を試験的に米国で開始している。1ギガという大容量にグーグルの検索エンジンを採用したサービスだけに、既存のメールソフトを駆逐する可能性さえ指摘されている。

 こうしたサービスが可能なのは、グーグルが10万台ともいわれるサーバーをつなげた巨大分散処理システムを既に構築済みだから。比較的小額の追加投資で新サービスを開始できるわけだ。同社副社長は、メール以外にも巨大分散処理システムならではの「クリエイティブなサービスを次々開発していく」と言う。

 「黒船」グーグルの来航で日本のIT産業は大きく揺さぶられることになりそうだ。(湯川鶴章)