TiVo(ディーボ)とその技術を応用したDVD/HDDプレイヤーの普及にともない、テレビ視聴の形に変化が現れ始めているが、その変化をさらに加速させるような技術が次々と登場している。テレビ視聴の形が変われば当然、広告の形が変わり、業界の形が変わる。この傾向が続けば4、5年後には大きな変革の波が襲う可能性が出てきた。

 ビデオオンデマンドを実現する技術やサービスが次々と登場している。米blinkx(ブリンクス)社は、ニュースやスポーツ番組などを放送するケーブルテレビや衛星放送のテレビ局約20局を24時間体制で受信、サーバーに記憶させ、音声認識技術と文脈解析技術を使ってデータベース化している。

 同社のサイトにアクセスし、キーワードを入力すれば該当する映像をリアルプレーヤーなどのソフトで見ることができる。

 最大の特徴は、文脈解析技術だ。映像が何についてのものなのかを的確に判断し、キーワードを含むもののあまり関係のない検索結果まで表示されることがないようにしている。

 Gotuit Media(ゴートゥイットメディア)社は、メタデータを付与することでキーワード検索の精度を高めるビデオオンデマンド技術を開発した。メタデータは7割が自動付与、3割は人手を使って付与するという。

 同社は、ケーブルテレビ大手のタイム・ワーナー・ケーブルを通じて米メーン州ポートランドで実証実験を既に行っている。この実験では、過去のスポーツの試合などを視聴する際に、「得点場面」や「ハイライト」などのメニューを選択し、好きな場面だけを見ることができる仕組みになっている。

 現在、RSSフィードを音楽ファイルと連携させiPodにダウンロードする「Podcasting(ポッドキャスティング)」と呼ばれる利用方法が普及し始めているが、音楽の代わりに映像ファイルをパソコンやテレビに送る「Tivocasting(ティーボキャスティング)」と呼ばれる技術の開発が始まっている。既に開発されているVogbrowser(ボグブラウザ)と呼ばれるソフトなどを利用してRSSフィードを受信し映像ファイルをダウンロードできる。電波を通じた放送と同様の結果がネット上のRSSフィードを通じて得られるわけだ。

 視聴や配信の形が変われば当然収益モデルも変わらざるを得ない。米国ではTivoのような仕組みで番組中のコマーシャルをカットする人が増えている。そのため、テレビ番組内の小道具などに広告主の商品をさりげなく使う「プロダクトプレースメント」という新しい宣伝手法に注目が集まっている。

 視聴率調査大手ニールセンによると、コカコーラなどのトップブランド10社がプロダクトプレースメントを使う回数が昨年に比べ倍増しているという。

 ビデオゲームのなかでプロダクトプレースメントを展開する企業も増えている。例えば、バスケットボールのゲームのなかでスポーツ用品メーカーのロゴつきのユニフォームを選手が着ている場合がある。

 これはプロダクトプレースメントとしてスポーツ用品メーカーがゲームメーカーに広告料を支払っている場合がほとんどだ。

 テレビ視聴の形は「受け身」からより「能動的」なものに変わりつつある。視聴者は、自分の欲しい映像情報を求めて映像情報の発信者と直接結びつこうとしている。流通の世界に見られる消費者の力とインターネットによる中抜きが、映像の世界にも起ころうとしているわけだ。(湯川鶴章)