中国オンラインゲーム最大手ベンダーの盛大互動娯楽有限公司(盛大網絡、SHANDA)が中国のポータルサイト大手の新浪網を運営する新浪公司(SINA)の株式を買い進め、筆頭株主になり、新浪がポイズンピル(毒薬条項)を発動した。

 フジテレビジョンとライブドアの騒動と状況は非常に似ているが、これらは中国企業による、米ナスダック、あるいは北京などを舞台としたもの。

 新浪が運営する新浪網は、中国最大のポータルサイト。日本と違って、群雄割拠の感のある中国インターネット市場で、広告シェアが3割前後に達する実力をもつ。中国のインターネット業界そのものを左右できる影響力のあるサイトだ。新浪自体は2000年に米ナスダックに上場している。

 対する盛大網絡は、新浪と比べれば、後発。米ナスダックへの上場も04年5月になってからだ。しかし、中国のインターネット業界を活性化させたオンラインゲーム産業の急成長の波に乗った、というよりも、その波を自らつくり出したのがこの盛大網絡だ。現在までに30億元(約375億円)ともされる中国オンラインゲーム市場で、盛大網絡のシェアは50%を超える。上場後、盛大網絡では買収活動を通じて、事業の拡大を進めていたが、05年2月になって、その最終章的に発表されたのが、新浪の株式買収だった。

 盛大網絡はすでに新浪の発行済み株式の19.5%を保有している。これに対して、盛大網絡の発表から4日後、新浪では、あと0.5%盛大網絡が買い増しを進めれば、新株予約権を発行することのできるポイズンピルを発動している。米国では買収への対抗策として企業が新株予約権を発行することのできるポイズンピルは法的に認められている。

 05年2月末、盛大網絡と新浪のトップ同士が北京で接触、今後について協議した。米国では、上場会社の発行済み株式数の5%を保有した時点で発表する義務がある。盛大網絡は、何らかの方法で、この5%という制限を巧みに回避し、累計で19.5%になった時に突然発表に踏み切った。こうした方法に対して、新浪の盛大網絡に対する不信感は大きい。

 それでも、新浪は公的には盛大網絡が株主になったこと自体については歓迎の意を発表。しかし、ポイズンピルを発動していることからも分かるように、支配権を獲得する行為には反対している。盛大網絡による新浪の株式の更なる買収に対抗するために、新浪としては、新浪と友好的に協力する善意の投資家をパートナーとして迎え入れたいところだ。いわゆるホワイトナイト(友好的投資家)である。

 新浪のホワイトナイトとして候補に挙がっているのは、ヤフーと言われている。もともと新浪とヤフーUSAやヤフーCHINAとは良好な関係にある。04年1月にはネットオークション事業で両者は提携していた。今回の盛大網絡の買収に対しても、新浪はヤフーとの接触を断続的に進めており、協議していると伝えられている。

 新浪網を制することができれば、中華圏のインターネット業界で莫大な影響力を行使することができる。オンラインゲームベンダーとして、盛大網絡が野心を示すことも、また、たとえ今回ホワイトナイトになったとしても、新浪の独自性を保障するとも伝えられているヤフーが、それでも新浪との連携を強化することも、不思議ではない。

 一方で、新浪のホワイトナイトがヤフーになる可能性は小さいとの指摘もある。さまざまな規制で、そうした行為に出られないだろうというのがその理由だ。さらに、盛大網絡は、今回の買収を通じて、中華圏のインターネット業界に君臨、それをもって、マイクロソフトが今後予定しているといわれる中国におけるインターネット分野でパートナーシップを組みたいとも言われている。また、未開拓の中国のインターネットテレビ市場に打って出ようという方針だともいう。

 現在のところ情報は錯綜している。ただし、中国でも期せずして、企業買収が、今回の騒動を通じて恒常化、さらに加速していきそうだ。(サーチナ・有田直矢)