関西電力系の通信事業者であるケイ・オプティコム(田邉忠夫社長)は、中小企業向けIP電話で攻勢をかける。今月から光ファイバーを利用した法人向けIP電話サービスを開始し、商品ラインアップが整ったことから、これまで手付かずだった中小企業向けの営業体制を強化する。PHSサービスを提供していた時に代理店となっていた電設会社などを再度活用するほか、大手ITベンダーの地域子会社や地場のシステムインテグレータ(SI)とも連携、今年度中に50社以上、最終的には100社以上とパートナーシップを結ぶ。コスト削減効果でニーズの拡大が見込めるIP電話を切り口として、今後5年で関西地区の中小企業で25%のシェア獲得を目指すとともに、中小企業向けソリューション事業の拡大にもつなげたい考えだ。

5年後めどに関西シェア25%目指す

 このほど開始したのは、光ファイバーによる法人向けインターネット接続サービスを活用した法人向けIP電話サービス(ゼロAB-J)である「eo光電話オフィス」および「eo光電話オフィス」のオプションとしての「050ナンバープラス」の2つのサービス。

 eo光電話オフィスでは、利用中の電話番号を引き継ぐことができる一方、基本料無料(ただしスイッチとゲートウェイの利用料は必要)、近畿圏内通話料3分7.77円・携帯向け通話料1分18.9円という低料金での通話が可能になる。また、050ナンバープラスを利用すれば、1番号280円で050番号電話のサービスが受けられ、通話先が050番号電話であれば、無料もしくは割安料金で電話できる。

 これらのサービスにより、導入企業は特性に応じてゼロAB-Jと050番号の組み合わせが可能になり、通信コスト削減効果が期待される。また、使用回線数の少ない中小企業でもメリットを享受しやすくなった。

 しかし、ケイ・オプティコムの法人向けサービスは、事業者向けへの回線卸売りや回線とセットになった大企業向けソリューションなどが中心で、近畿圏で圧倒的多数を占める中小企業にはほとんど足場を持っていなかった。昨年秋から開始した家庭向けの光インターネットと光電話(ゼロAB-J)を5200円で提供するサービスが中小企業経営者の需要を喚起したことや、他の主要なIP電話事業者との相互接続が可能になったことから、法人向けサービスを開始したが、営業部隊の整備は十分とはいえなかった。また、中小企業をターゲットとした場合、直販では効率が低下するため、パートナー戦略を進めることにした。

 当面のパートナーの中心となるのは、2004年9月末で終了したPHS音声電話サービスの代理店となっていた電設会社など。電気系の工事や設備保守などで中小企業との接点は多く、SI事業者などよりアプローチし易い。加えて、接続工事などが発生するため、両者にとってメリットがある。

 一方、大手ITベンダーの地域子会社や地元SIとの連携も図る。一部のベンダーとは、ゲートウェイなどの機器の供給を受けることを踏まえ、アライアンスを締結したが、今後はIP電話と組み合わせたソリューションの提供も含め、SIとのパートナーシップ構築を進める。携帯電話との連携など、ケイ・オプティコム自身が開発している複数のソリューションも今年度中には商品化される見通しで、ニーズに応じたパッケージ化も可能になる。中小企業のIT化をターゲットとするSIにとっても、コスト削減の効果が分かりやすい「電話」を切り口とすることでアプローチも容易になると見ている。

 ケイ・オプティコムでは、今年度中に少なくとも50社以上の企業とパートナーを組み、最終的には100社以上に増やす考え。23万社を超える近畿圏の企業の80%以上を占める中小企業市場に対する窓口を整備し、5年後には中小企業向けIP電話で25%のシェアを確保したい考えだ。