昨年12月に富士通が132万円の低価格でフォルトトレラント(FT=無停止システム)サーバー(富士通の呼称は「FTモデル」)「プライマジーTX150FT S2」などの出荷を開始した。これまで国内では、低価格のFTサーバー市場といえば、協業するNECとストラタス陣営の独占状態にあった。NECが最も低価格で175万円の「エクスプレス5800/ftサーバー」を出荷開始したのが2001年6月。この市場に富士通が参入したことで、サーバー大手両社による競合が鮮明になった。

ソフト方式とハード方式、どっちが有利

 富士通とNEC、ストラタスのFTサーバー(FTモデル)は、ともに“止まらない”サーバー。運用上の違いは少ないが、システム構成は大きく違う。富士通のFTモデルは「ソフトウェア方式」と呼ばれ、汎用IAサーバー2台を仮想化技術で統合し、FT制御をFT専用のソフトウェアが担う。一方、NECとストラタスのFTサーバーは、サーバーのハード内で同期処理をする「ハードウェア方式」。富士通と異なりLinux環境にも対応しているのが特徴だ。

 両社のFTサーバー(モデル)のシステム構成には、一長一短があるといわれる。NEC、ストラタスとの機能比較について富士通の新谷智康・パートナービジネス本部販売推進統括部担当部長は、FTモデルの拡張性の高さについてこう説明する。「当社のFTモデルは、汎用IAサーバーを使っている。専用機型のFTサーバーと異なり、導入したあとでもCPUなど最新の技術を低コストで容易に導入できる」。

 これに対し、NECの大西映子・クライアント・サーバ販売推進本部商品マーケティンググループ主任は、「当社のFTサーバーは、CPUのリソースを使わずハードで同期処理している。富士通のソフト方式では、ディスクメモリを大量に消費し、アプリケーションやウィンドウズがダウンすると復旧に手間がかかるリスクをともなう」と、ハード方式の優位性を誇示して譲らない。

 両社のFTサーバー(モデル)のシステム構成について、大塚商会の担当者は、「両社製品とも、一世代前のCPUを搭載している点で若干課題は残る。ただ、この程度のスペックがあれば十分市場を納得させうる商材として、顧客に推奨できる」と話す。

 富士通は3月、「TX150FT S2」などの出荷に合わせ、マイクロソフトと共同で中堅企業向けソリューションを開始した。オービックビジネスコンサルタント(OBC)、応研、ピー・シー・エー(PCA)のERP(統合基幹業務システム)パッケージとFTモデル、ウィンドウズを組み合わせ、事前検証した上で販売している。この業務ソフトベンダー3社はこれまで、クラスタシステムを組み合わせ自社ERPを販売した実績がほとんどなく、インテグレーション型でなく訪販系ベンダーが売りやすい“手離れの早い”高信頼の低価格サーバーを待ち望んでいたといえる。

 PCAの伊藤真一郎・Dream21事業部シニア・コンサルタントは、「当社の顧客でも、無停止へのニーズは高くなった。こうしたニーズに対し、今までは、クラスタシステムの選択肢しかなかった。クラスタは高価で運用負荷も高く、当社の顧客には手が届かなかった。富士通のFTモデルは、当社が期待する性能を持ち、価格レンジも手頃になった」と、富士通のソリューション企画に協力した経緯を説明する。

 一方、NECとストラタスでは、NEC販社の大塚商会や日本事務器などのほか、中堅・大企業のERPを提供するソフトベンダーなどを通じた販売実績がある。大塚商会によれば、ここ数年はNECのFTサーバーを月ベースで100台程度を販売したという。当然ではあるが、富士通はこの領域を攻略すべく戦略を練り始めた。逆にNECもOBCなどの中堅企業エリアを狙っている。