【ソウル発】「テレビが手の平に!」──テイクアウトテレビと呼ばれる衛星DMB(デジタルマルチメディアブロードキャスティング=モバイル衛星放送)時代が本格的に始まった。衛星DMBサービスは今年1月初めに放送がスタートし、4か月間の試験放送を経て5月1日から商用化に踏み切った。

 衛星DMBサービスを提供する「TUメディア」は、商用化から1か月経った5月末現在、加入者数は合計4万2000人余りと発表した。1日平均加入者数は1500人。衛星DMBを見られる携帯電話端末の種類が少なく、「キラーコンテンツといえるのも特にない状況であることを考えれば、出足はかなり順調である」というのが業界関係者の分析だ。サービス利用料は加入費2万ウォン(約2000円)に月1万3000ウォン。TUメディアは、商用化開始プロモーションとして5月末まで加入費と月額利用料を無料にした。

 衛星DMBに対する関心が高いことで、関連業界にも注目が集まっている。株式市場ではDMB携帯、コンテンツ提供企業など衛星DMB関連企業の株価が一斉に上昇局面を迎えた。三星電子、LG電子など携帯電話ベンダーは液晶が大きく、テレビのように横型で視聴できるDMB携帯を相次いで発売。SKテレコムはこのほど大型映像、音楽制作会社を相次いで買収し、衛星DMB時代の新しいコンテンツ確保のため莫大な投資に乗り出している。

 衛星DMBサービスに対するユーザーの評価は、「画質は良いがこれは見てみたいという番組が少なく、受信できない地域がまだ多い」という不満もある。その一方で、携帯電話の液晶画面でも小さな字幕まで鮮やかに見られると、画質に対する評価はとても良い方だ。

 ビル街や地下鉄内部など一部地域では受信状態が良くないことも課題となっている。衛星電波の受信状態が安定的でない地域には中継機を設置している。現在までに、4500余りの中継機を設置しているが、そのほとんどがソウルおよび首都圏地域に集中している。今年末まで全国84都市に中継機を拡大設置する方針だ。

 首都圏地下鉄の場合も現在1-4号線内部にだけ中継機が設置されているため、下半期中に5-8号線まで拡大する計画。

 コンテンツを強化するため6月からオーディオ1チャンネル、ビデオ3チャンネルを追加、合計32チャンネルまで拡大する方向で改編した。6月中旬からは韓国出身の野球選手らが出場するメジャーリーグ試合を生中継する。ゲームチャンネルも時間帯を大幅に増やす計画だ。近いうちに通勤ラッシュアワーの時間帯にバスや地下鉄のなかでニュースやスポーツ中継を視聴する会社員の姿も珍しいものではなくなるだろう。

 しかし、解決しなければならない課題は多い。衛星DMBでの地上波放送の再送信問題がまだ解決されていない。しかも7月から始まる地上波DMBサービスと加入者獲得競争をしなければならず、軌道に乗るにはあともう少し時間が必要と見られている。
鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)