アドビシステムズ(石井幹社長)は、クリエイター向けソフトウェア「アドビ・クリエイティブ・スイート2」を7月上旬から発売し、出版、広告などクリエイティブ分野のビジネス強化に乗り出す。2004年1月に前バージョンを発売して以来、パッケージ製品やライセンスだけでなく、システム構築を含めた案件も出てきた。今後はクリエイティブ分野のシステムインテグレーション(SI)も視野に入れる。

 アドビシステムズのクリエイティブ事業は、04年度(04年12月期)にワールドワイドで前年度約1.7倍にあたる6億1310万ドル(約655億5270万円)と好調。売上比率は、前年度の29%から37%まで上がっており、同事業が主力ビジネスになっている。

 日本法人の売上高は明らかにしていないが、「ワールドワイドと同程度に成長している」(石井社長)という。7月上旬に「アドビ・クリエイティブ・スイート2」を国内市場に投入することから、今年度下期からは同事業をビジネスの柱に据えて、「新製品の立ち上がりは、まず首都圏の家電量販店でプロモーションを実施する。さらに店内のデモコーナーの充実などで幸先の良いものにする」と意欲を示す。法人向け販売ではディストリビュータを通じてライセンスを拡大するため、「地方都市でのセミナーを行うなど販売しやすい環境を整える」考えだ。

 クリエイティブ・スイートは、DTPソフト「インデザイン」や写真編集ソフト「フォトショップ」などクリエイティブ業務に必要なソフトを統合した製品。新バージョンでは、デザインの閲覧や整理、複数ファイルのプレビューなどが容易に行える「アドビ・ブリッジ」を搭載し、業務効率の向上を追求している。

 石井社長は、「クリエイターの数は急激に伸びているわけではないが、ニーズに合った機能を追加して提供すれば、既存ユーザーのバージョンアップを取り込める」と、一定の利益を確保できると試算する。しかも、最近は製造業などで販促物を制作する際や地方自治体で広報誌作成で同社のソフトを導入するところも出てきたという。簡単操作をアピールすることで、「新しい業種でユーザーを獲得できる」と自信をみせる。

 また、出版社向けシステムを提供するSI企業がアプリケーションソフトとしてクリエイティブ・スイートを採用するケースもある。「今後は、クリエイティブ分野のソリューション案件を増やせる可能性が高い」とし、ドキュメント事業での技術パートナーを中心としたアライアンス「デベロッパーズ・サポートプログラム」への参加を、クリエイティブ事業の販売パートナーにも積極的に促していく。