【ソウル発】韓国国内のパソコンショップの売り場から、ついに正真正銘の「メード・イン・コリア」パソコンが消える事態となった。ソウルの電気街「竜山」には東京・秋葉原以上にパソコンや部品、家電、携帯電話などあらゆるIT製品が集まっている。だがここで売られているパソコンのほとんどは、中国・台湾製の部品が使われている。韓国のパソコンメーカーのブランドをつけた商品でも、ブランドだけ韓国メーカーで部品調達から完成品の組み立てまですべて中国でやっているのが実情だ。韓国のパソコン売り場から、もはや「メード・イン・コリア」を見つけるのは難しくなってしまった。

 韓国のパソコン産業は、1980年代に米IBMなどに続いて韓国の三星電子、LG電子など大手企業らが市場に参入し、90年代中盤から韓国製パソコンが市場を制覇した。その後、パソコンは韓国を世界的なIT強国に育てる柱となり、最先端技術の象徴として脚光を浴びた。

 00年まで韓国パソコン産業は成長を繰り返し、輸出額は99年18億ドル、2000年28億ドルなど毎年記録を更新してきた。大手企業はこれをステップにして世界的なIT企業へ成長した。だが昨年から韓国のパソコン産業が危ないといわれ始めた。今年に入って現代マルチキャップとヒョンジュコンピュータが相次いで倒産し、韓国産パソコンの老舗である三宝(サンボコンピューター、トライジェム)も法廷管理に入った。

 03年のパソコン輸出額は14億1100万ドル、04年は5億9500万ドルに減少。00年以降4年の間に4分の1以下にまで減ってしまったわけだ。今年の輸出は5月までで1億3400万ドルと、昨年よりも低迷している。

 韓国製パソコンの生産台数は00年に237万台でピークを迎えた。その後は減少の一途をたどり、昨年は180万台(三星電子、LG電子、三宝、ジュヨンの4社合計)を生産したに過ぎない。だが実はこれらも“原産地”は中国なのだ。

 韓国に残っていた一部の大手メーカーの組み立てラインも今年中に中国に移転する。三星電子は今年、ノートパソコンのすべてを中国・蘇州工場で生産する。LG電子も京畿道平沢にあったノートパソコンの生産ラインを中国の昆山工場に移転する計画だ。

 産業資源部傘下の産業研究院は、「世界パソコン産業の再編と国内パソコン産業の活路」という報告書をこのほど発表した。そのなかで、「中国が世界のパソコン生産の90%を占め、台湾は世界のノートパソコンの70%を生産している。安い中国製パソコンの流通で韓国の打撃は大きいが、中国と製造で競争するのは自殺行為」としたうえで、「それよりデジタル家電機器と連携した次世代パソコン分野とプレミアムブランド戦略で差別化するしかない」と指摘している。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)