コンピュータサプライ品やオフィス什器を販売する富士通コワーコ(芝野芳彰社長)は今年3月、顧客の問い合わせを受付ける「お客様総合センタ」を日本ラリタン・コンピュータのKVMスイッチ(CPU切替機)などを利用して「ノンPCオフィス」環境にした。オフィス内にデータを蓄積したパソコンが配置されていることで、盗難やUSBメモリ、CD-Rなどを利用したデータの不正持ち出しによる内部情報漏えいを防止するのが狙いだ。ここへきて、ブレードPCやシンクライアントを利用したセキュアパソコン環境を実現するソリューションに注目が集まっているが、KVMスイッチなどを利用して安価に同環境が構築でき需要が見込めるとあって、KVMスイッチメーカーが遠隔監視のソリューション販売を強化し始めている。

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 富士通コワーコは、4月の「個人情報保護法」施行もあり、東京・西新宿から同芝公園の事務所移転を契機に設置した「お客様総合センタ」を「情報漏えい防止に適し、クリーンな事務所にする」(坪井文明・ネットビジネス本部担当部長)ため、同センタを「ノンPCオフィス」環境にすることを計画。同時期には、日本ラリタンの販売会社でサーバー周辺機器事業などを手がける日本タクソンから、こうした環境構築に関する提案を受け採用した。

 「お客様総合センタ」のシステムは、パソコンとディスプレイ側にキーボード、ビデオ、マウスのアナログ信号を遠隔設置する機器で最大300メートル離して設置できるラリタン製のKVMエクステンダー「Cat5 Reach」を接続し、データ蓄積ができるパソコン本体を一括収納する「設置管理ルーム」にUTPケーブルでつないだ。

 このシステムを構築した日本タクソン営業部の米山康氏は、「データを切り離すという発想から生まれたのが今回のシステム。データを保有するパソコンを別室で制御する方式をKVMスイッチなどを利用して構築した」という。だが、設置管理ルームとパソコンを切り離すと、パソコン電源の起動やリブート処理ができなくなるため、富士通コワーコ製でコンセントの電源を遠隔操作できるネットワーク電源コントローラ「WebTap」を組み入れた。

 これにより、パソコンなど既存システムを利用しつつ、ブレードPCやシンクライアントと同じようなセキュアパソコン環境が安価にできた。富士通コワーコがこのシステムに投じた初期投資は、パソコン4台の環境で200万円程度。坪井担当部長は、「ネットワークを介さず作業ができるので、データ盗難の可能性がなく、しかも同センタの入口は静脈認証で入退室を管理しているので、セキュリティが万全になった」と喜ぶ。

 現在、センタ内には、パソコンのディスプレイとキーボード、マウスだけが設置されている。データ関連の作業は、すべて設置管理ルームで遠隔制御しているため、「当社は、夏場に“クール・ビズ”を実施しているが、センタ内に熱源がなく、涼しい環境も実現できた」(坪井担当部長)という。

 日本ラリタンの栗田正人・東日本販社営業部部長は、「ブレードPCやシンクライアント環境を検討する企業は、予算の関係で導入に踏み切れていない。KVMスイッチなどを利用すれば、既存システムを有効利用して安価にセキュアパソコン環境を実現できる」と、従来はサーバーの遠隔管理向けに販売していたKVMスイッチを、富士通コワーコのようなニーズのある企業へ拡販していく方針だ。