ソフトメーカー大手の米コンピュータ・アソシエイツ・インターナショナル(CA、ジョン・スウィンソン社長兼CEO)は、ITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)を前面に押し出したビジネス展開を本格化する。手始めに、年内をめどにITILの資格取得者を増やすなど社内体制を整備する。CAは、ITILをベースに売上高を伸ばしていくため、ITILの執筆者で、ITIL普及を促す団体「itSMF」の創業者であるブライアン・ジョンソン氏を昨年12月に同社のITIL実践マネージャーとして招聘している。

 ITILは、ITシステムの運用および管理業務に関するガイドライン。英国政府がIT活用の先進事例を調査して模範的な事例(ベストプラクティス)を収集、「ITを活用して業務の遂行を援助する」方法論として体系化したものだ。欧州や米国などでは知名度が高まっており、日本でも普及しつつある。

 世界的な動きを受け、米CAでは製品の機能を前面に押し出したビジネスから、ITILをベースに売上高を上げていくビジネスに軸足を変えている。ブライアン・ジョンソンITIL実践マネージャーは、「当社の製品はフォーチュン500企業の約90%が導入しているが、その顧客企業は情報システムにベストプラクティスを採用したいと望んでいる」と、今後はITILで競合他社よりリードできなければ、これら顧客を失いかねないと危惧する。しかも、「2-3年前であれば、ITILがなくても製品を拡販できた。しかし今では、顧客のITILの受け入れは確実に広がっている。当社は運用管理での立場をさらに強化しなければならない」とアピールする。

 CAでは、「以前からITILを視野に入れたビジネスを展開していたが、企業戦略ではなかった」としており、ジョンソンITIL実践マネージャーの加入で、ITILを戦略的な領域として意識するようになったという。現段階では、年内をめどに同社スタッフの1000人程度をITIL資格者として養成するなど社内体制を強化。来年度以降は、「ITILソリューションプロバイダのトップを目指す」と、コンサルティングや対応ソフトウェアの充実などを図っていく方針だ。

 ジョンソンITIL実践マネージャーは、1980年代後半に最適なITシステムの普及を促す英国政府機関のCCTA(現OGC)に入職し、ITILの企画および執筆に従事した。英国政府の国民貯蓄部門にITILのベストプラクティスを導入するなどの実績ももっており、ITILのすべてのバージョンの執筆に携わっている。ITILをワールドワイドで普及させることについては、「次の課題は非英語圏での浸透だ。アジアや東欧では普及しているとは言いがたい」としており、「資格取得のための試験は、世界の各地域の言葉で行うのが普及につながるだろう」と、それぞれの国でローカルのITILが出てくる可能性を示唆する。