コンピュータ用のUPS(無停電電源装置)の販売や保守サービスを手がけるAPCジャパン(デビッド・プルマー社長)は、電源やラック、空調設備など、ITシステムを支える物理インフラを管理するソリューション事業を本格化させている。これまで、電源やラックなどを単体で販売してきたが、「単体のコンポーネント売りでは、IT機器の入れ替えや変更に柔軟に対応できない」(高村徳明・コアビジネス事業本部長)ことから、総合的な改善策の提供に乗り出す。合わせて、システム構築と同時に同社のソリューションを提供するパートナーの拡大にも力を入れる。

 企業のITシステムを支える電源やラック、空調設備、分電盤、ケーブル回線、保守サービスなどの機器を総称して、同社では「NCPI(ネットワーク・クリティカル・フィジカル・インフラストラクチャ=ネットワークに必須の物理インフラ)」と呼んで体系化した。IT機器を収めるラックに電源や空調設備などを集約し、IT機器の入れ替えに応じて柔軟に物理インフラを変更できるようにした。

 具体的には、「InfrastruXure(インフラストラクチャ)」と呼ぶ、自社製のUPSや分電盤などをモジュール化(部品化)して、IT機器の拡張に合わせて順次ラックに積み増しができる仕組みとした。

 一般的企業がサーバーを設置する場合、情報システム担当やシステムインテグレータ(SI)がIT機器の構築をするが、その変更の内容やIT機器のパフォーマンスに応じた電源などの設置はできていない。そこで同社は、「NCPI診断」を実施してシステムの脆弱性を分析し、モジュール化したUPSなどを、的確に設置できるようにした。

 この効果について、千歳敬雄・マーケティング本部マーケティングコミュニケーション部部長は、「サーバーはブレードで統合が簡単にできる。しかし、電源は一度設置するとなかなか統合できない。当社のインフラストラクチャは、ITシステムの成長に合わせ、最適な物理インフラを構築できる」と話す。小規模のラック1台からインターネットデータセンター(IDC)の大規模施設まで対応可能という。

 同社はこれまで、UPSなどをディストリビュータ経由で販売してきた。だが、ソリューション販売の必要性があることから、「サーティファイド・リライアビリティ・プロバイダ・パートナープログラム(C/RPP)」というパートナープログラムを昨年から開始している。技術やセールスなどのトレーニングを認定パートナーに提供している。

 すでに、竹中工務店や三菱商事など100社弱にソリューション販売したが、「システム統合や災害対策を講じる企業は増えている。当社の売上高も昨年から今年にかけて倍増した」(高村事業本部長)という。今後も需要が高まると見て、システム構築を手がけるSIを対象に、現在13社の認定パートナーをさらに増やす計画だ。