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リバーベッドテクノロジー WDS向けの高速データ転送製品 日本法人設立で本格的に市場開拓

2006/01/30 12:50

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

 広域ネットワーク(WAN)環境の帯域不足などを解消するアプライアンス製品を開発・販売する米リバーベッドテクノロジー(ジェリー・ケネリーCEO)は、このほど、日本法人(井上祥二社長)を設立した。サーバーやストレージ統合を進める国内企業を対象に販売を本格化する。

 世界的には、WDS(広域データサービス)と呼ぶアプライアンス製品の需要が急速に高まっている。日本でも、個人情報保護法対策や災害時の事業継続対策などが進み、WDS市場が拡大すると判断して、パートナーの開拓を進める。今年度(2006年12月期)は、2300-2500台の販売を見込んでいる。

 米本社は02年に設立。WDS市場向け製品としては、ワイドエリアファイルサービス(WAFS)製品「SteelHead(スチールヘッド)」シリーズを04年6月から発売した。世界では、すでに約2500台出荷されている。日本の導入実績は数台だが、昨年6月から国内代理店によるマーケティング活動を開始している。

 スチールヘッドは、WANを利用した拠点間通信の際に生じる遅延や帯域不足を独自のキャッシュ技術で解消して、高速なデータ転送を可能にする。本社のデータセンターと各拠点のクライアントに設置して利用できる。現行製品は、100-500人規模の拠点を持つ大企業が主な対象だが、4月には、20-300人の小規模拠点に対応した新製品を発売する計画だ。

 日本法人では、国内代理店だったネットマークスと日本ダイレックスを1次代理店とし、3月までに両社のもとに20社の2次代理店を編成する。

 世界的には、「OEMパートナー」としてヒューレット・パッカード(HP)、NASやSAN製品と技術的な連携を図る「テクノロジーパートナー」としてEMCと協業している。今後は、日本のメーカーとも両パートナーに関する協業を進める方針だ。

 最近では国内の大企業を中心に、遠隔地に散在するファイルサーバーやデータを蓄積するストレージなどを集中管理し、セキュリティ上の障害や災害に備える企業が増えている。しかし、こうしたシステム統合により、WAN環境でのHTTP転送やCADデータのアクセス、災害対策用のディスク間複製などで、データ遅延の発生が問題視されている。

 昨年6月からは、1次代理店の2社が、大企業や販社向けにスチールヘッドの説明会を開催し、これまで数100社が導入を前提に検証を進めている。「今年3月から、こうした案件の導入が開始される。それ以外からの引き合いも多く、日本法人の体制も徐々に拡大する」(井上社長)と、営業、マーケティング担当を確保するほか、技術者育成に向けた取り組みを開始する。
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