首都圏コンピュータ技術者協同組合(真杉幸市代表理事)は、組合員のキャリアアップ支援を強化する。今年9月をめどにITスキル標準(ITSS)を導入してスキルの可視化を行うとともに、ITコーディネータ資格の取得支援にも力を入れる。

 ITSSは経済産業省などが中心となって定めたITスキル体系で、IT技術者のスキルアップに活用できるだけでなく、発注者側にとっても目安になる。必要とするスキルの種類やレベルを照らし合わせて人員数や報酬などの適正化に役立つ。こうした利点から、ITSSをベースとした取り引きが増えている。

 ソフトウェアの開発単価が下落するなか、効率的なスキルアップやプロジェクト単位での受注比率を増やすことで、組合員の事業拡大を目指す。

 ITSS導入では、中長期的な視点に立ったスキルアップを図れるようにする。これまでは報酬が高ければ、蓄積した技術とは関連性の薄い案件でも選択せざるを得ない面があった。組合員の間に「スキルのバラツキが見られた」(真杉代表理事)ことから、ITSSで自身のスキルを可視化し、より戦略的にスキルアップできるよう支援していく。

 また、熟練の組合員を中心に、プロジェクト単位で仕事を請け負う動きも出始めている。従来はソフト開発を部分的に請け負うケースが多いため、システム全体をマネジメントするノウハウが蓄積しにくい傾向があった。今年度(2006年8月期)中にもプロジェクト単位で受注する仕組みづくりに着手し、システムを一括して受注する取り組みを強化することでプロジェクトマネージメント能力を向上させる。

 今後は、エンドユーザーにより近づけるようITコーディネータの資格取得の支援にも力を入れる。すでに取得にかかる費用の一部補助を行っており、これまでに10人ほどが取得した。ITコーディネータの組合員らが中心となったコミュニティも立ち上がっており、こうした動きが組合全体に波及することも期待されている。

 組合員は増加傾向で、今年度末には前年度比11%増の1500人に達する見通し。だが、組合員1人当たりの1か月の報酬額を示す人月単価はここ数年下落傾向が続く厳しい状態にある。景気改善の兆しなどから「人月単価はほぼ底を打った」ものの、ITSSの活用やプロジェクト単位での受注、経営課題解決型のビジネスの創出などに取り組むことで、事業拡大に結びつける考えだ。