【北京発】中国の国家標準委員会がこのたび公布した「地デジ」に関する一連の国家標準は、5年の歳月を費やして完成したものだ。それだけに産業界の「地デジ」に対する期待は大きく、特に事業拡大への千載一遇のチャンスを迎えた主要TVメーカーは鼻息を荒くしているようだ。

 中国の国家標準委員会は今年8月末、「2006年第8号 中国国家標準批准発表公告」を公布し、地上デジタル放送システム構造、通信コード、変調に関する国家標準を発表した(運用開始は07年8月1日)。

 タイムスケジュールが不透明なまま進行されてきた標準制定作業だが、01年に国家デジタルテレビプロジェクト工作会議が地上デジタル放送規則の募集を開始したのが始まりだった。最終段階では、清華大学が主導するDMB-T標準案と上海交通大学が主導するADTB-T標準案の間でせめぎ合いが続いたが、双方を融合して新たな国家標準をつくり上げる形となった。

 中国では約4億台のTV受像機が使用されているといわれている。1億1200万世帯のケーブルTV視聴者以外はすべて地上デジタル放送の潜在的ユーザーとなるため、業界全体にとって、またとない商機が到来したことになる。

 事実、「標準」発表からほぼ1週間過ぎたところで、すでに激しい攻防戦が始まっていることが明らかになった。大手家電メーカーの「康佳(コンカ)」が、新標準に対応した最初の製品をすでにスタンバイさせており、半年以内に発売開始予定であることを明らかにしたのである。

 「康佳」は車載型モバイルTVがDTVの出発点となるとみており、DVDやカーナビなどを搭載した地上DTV標準対応の車載型DTVを07年初めにも発売する見通しだ。

 一方、「長虹(チャンホン)」も生産品種をDTVに全面転換する方針を明らかにした。今後は地上デジタル放送標準に基づいた超大型高解像度DTV、ケーブルテレビ用、衛星放送用などのDTVを主製品とし、中国最大のDTVサプライヤーの地位を得たいという意欲をあらわにしている。

 さらに、TCLや創維(スカイワース)、海信集団(ハイセンス)などもDTV商戦への参入を表明しており、市場は早くも沸き返っている。

 しかし、中国電子視像協会(中国エレクトロニクス・オーディオ・ビジュアル協会)の白為民・秘書長は、「中国国内のDTV市場はようやく発展段階に入ったところであり、技術的にも資金的にもまだまだ不十分。現時点において最も大切なのは、業界全体の連携と利益モデルの確立であるはずだ」と、興奮気味の業界に向かって、冷静さを取り戻すよう呼びかけている。(サーチナ総合研究所 森山史也)