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韓国 IT輸出が絶好調 史上初の100億ドル突破

2006/10/23 18:04

週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載

【ソウル発】韓国のIT輸出が9月、史上初の100億ドルを突破した。昨年9月に90億ドルを突破してから1年ぶりのことだ。情報通信部が10月2日発表した9月のIT輸出額は107億4000万ドル、1年間で16.6%増加している。IT収支も同じく54億3000万ドルの黒字を記録した。これは季節的特性により半導体、携帯電話、パネル、デジタルTV(DTV)といった主な輸出品目の販売が好調だったためとみられている。とくに半導体とパネルは史上最大の輸出実績で、それぞれ21.9%、71.9%と急上昇し、DTVは19.0%成長した。

 半導体はロジック(6.8億ドル、28.1%増)、MCP(3.6億ドル、145%増)、ウェイパー(5.4億ドル、13.0%増)と、輸出好調が続いた。また、Windows Vistaへの期待からDRAM(9.8億ドル、39.0%増)の輸出が回復し、21.9%増の33億4000万ドルを記録。史上最高額21億2000万ドルを1か月で塗り替えた。

 携帯電話は新製品の輸出が拡大、今年最高の23億8000万ドルを達成した。とくに中国、メキシコ、ポーランド、フィリピンなど新興市場での輸出が前年比2ケタ以上増加している。

 パネルは大型モニタ需要と、大型LCDTVの市場拡大により、前年比71.9%増加の18億1000万ドルを記録した。

 デジタルTVはメキシコ(116%増)、ポーランド(210%増)、ロシア(237%増)、スロバキア(18.5%増)など海外生産のための部品輸出が増加し、前年比19.0%アップの7億ドル輸出を記録した。

 輸出相手国別にみても、対中国輸出が史上最高記録となった。中国は中国政府の緊縮政策にもかかわらず高度成長が持続しているため、携帯電話(6.8億ドル、42.8%増)、半導体(12.8億ドル、19.9%増)、パネル(6.6億ドル、 10.1%増)の輸出が増大、月間輸出としては最高額の38.4億ドルを記録した。

 対日本輸出は半導体(3.2億ドル、4.0%増)、パネル(2.2億ドル、22.9%増)、携帯電話(0.5億ドル、482%増)、 メモリ装置(0.2億ドル、23.9%増)などの輸出が増加し、前年比15.0%上昇した7.8億ドルの輸出額を記録した。対日輸出はパネル輸出の増加により2005年9月以後14か月連続2ケタ増を記録している。

 韓国のIT輸出は7月以後3か月連続成長を続けているが、情報通信部は10月には秋夕(お盆)連休の影響から鈍化する可能性があるとみている。石油価格は安定した動きに変わったが、ウォン高による不利な展開からIT輸出にも悪影響が現れるのではないかと懸念されている。

 しかし、長期的にはWindows Vistaの発売開始によるメモリの需要急増、新規携帯電話のヨーロッパおよび北米市場での好調さ、DTV価格下落によるパネル需要増などの好材がクリスマス特需とからみ、IT輸出の増加傾向は年末まで続くと予想されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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