【ソウル発】韓国では携帯電話ベンダーの新機種発売競争とマーケティングの強化がすすみ、ついに機種変更周期が6か月にまで縮まった。日本は夏と冬のボーナス時期にあわせ新機種が発売される傾向が強いが、韓国では時季に関係なく年中新機種が投入される。機種変更周期はこの1年の間に、12-18か月から6-8か月へと一気に短くなり、世界で最も入れ替えの激しい国といわれている。

 三星電子の場合、年間150種類もの新機種を発売している。そのためマーケティングや広告も派手に行われ、多モデル生産によるR&D費用も上乗せされるので、高価な端末しかつくれない。

 最近の新機種は新規加入だと60-80万ウォン(約10万円)、機種変更では120万ウォン(約15万円)を超えたりもする。それでも韓国の機種変更周期はこの1年の間に、12-18か月から6-8か月と一気に短縮化しており、世界で最も携帯電話をころころ変える国といわれている。

 欧州や米国の機種変更周期は短くて18-24か月、3年以上にわたって同じ端末を利用する人も多いそうだ。

 携帯電話市場シェア3位の三星電子の場合、ノキアやモトローラとの競争に打ち勝つため、とにかくどこよりも早く新しい機能を披露することに力を入れている。カラー液晶、MP3音楽携帯、1000万画素カメラ付きなど競合するベンダーよりも早く提供することで、高仕様端末というブランドイメージをつくり上げた。

 LG電子はデザインで勝負しながら新機種の発売を増やしている。ファッションとしての携帯電話を強調し、ブラック&ゴールド、パステルカラー、ピンク、ステンレス素材で鏡のような端末を次々に売り出している。

 ペンタックはデザインと機能の両面を追求し、最先端の機能ではないがユーザーの意見を反映した使いやすい携帯電話を投入している。消費者のなかから選ばれた30人のデザイン開発コミュニティを運営、一般ユーザーの声をできるだけ反映しようと努力している。そのため、いま韓国では薄さが6.9mm、8mmなどスリム携帯で競争が激化しているが、ペンタックはいちばん握りやすい13mmの薄さを選択した。

 機種変更の周期が短くなるにつれて、携帯電話の部品産業も成長を遂げている。3年前までは、カメラやLCDはすべて日本からの輸入に依存し、韓国では組み立てるだけだったが、いまではモデムチップ以外のほとんどを国産化している。

 韓国の産業が活性化したのはいいが、問題も浮上しつつある。環境汚染の恐れがあるため中古端末は回収してリサイクルすべきだが、キャリアもベンダーもこの問題には消極的すぎるのが実情だ。代理店が回収はしているが、代理店に持ち込まれる中古端末は年々減っている。

 昨年までは携帯電話購入補助金が禁止されていたため、その代わりとして機種変更する際に中古の携帯を代理店にわたすと2-3万ウォンを値引きしてもらえたが、今年から加入期間に応じて機種変更の際に補助金がもらえる制度がスタート、キャリアは中古端末の補償を中断した。

 そのためリサイクルされる端末は昨年の10分の1にも満たない。リサイクルされないまま放置された携帯電話は昨年だけで1300万台、今年は1600万台以上がゴミとして捨てられそうだ。ベンダーは生産量の11.9%だけ義務的に回収すればいいので、あまり関心がないのが実態だ。

 環境団体は、携帯電話を販売する際に空き瓶対策のように補償金として一定金額を預かり、中古端末を回収しながら払い戻しをする制度を導入すべきだと主張している。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)