野村総合研究所(NRI、藤沼彰久社長)は、社内リソースを新規案件により重点的に配分する取り組みを強化する。ソフト開発などのSI事業を「新規案件」と「既存システムの機能拡張、追加」の2種類に大きく分け、顧客基盤の拡大に結びつきやすい新規案件をより積極的に獲得する体制をつくる。従来は既存システムの拡張にリソースが割かれる傾向にあり、新規案件の獲得に十分割り当てられないとの課題があった。こうしたネックを解消するため、協力会社のリソースを有効活用するなどして解決を図る。

 客先ですでに稼働しているシステムは納入してから年数がたっていることが多い。このため機能拡張するときはシステムの内部を再確認する作業が発生するなど、新規で構築するのに比べて作業工数が多くなりがちだ。自社で構築したシステムならともかく、他社が構築したシステムを拡張するケースでは「どうしても手間が多くかかる」(岩井正樹・品質監理本部パートナー推進部e-パートナー推進課課長)ことが課題になっていた。

 そこで特定のソフト開発パートナーなど協力会社のリソースを既存システムの機能拡張、追加の分野に割り当ててもらうことで課題解消に取り組む。

 同社では一般のパートナー契約とは別に実力を持ったパートナーと「eパートナー契約」を結んでおり、システム設計など上流工程から参加してもらう仕組みを整備してきた。通常は、システム設計を終えた後のプログラミング工程を外注することが多いが、eパートナー契約企業では上流から参加してもらうケースもある。パートナー企業側にすれば付加価値の高い仕事をより多く受注できるなど収益面のメリットがある。

 NRIではeパートナーのリソースを既存システムの拡張により多く配分してもらうことで、社内リソースを新規案件の開拓へ振り向けられる体制をつくってきた。eパートナー契約を始めた約4年前には社内リソースの7割近くを既存システムの拡張に割り当てる傾向にあったが、直近では6割程度に抑えられるなどの成果をあげた。新規案件が増えればSI事業全体のパイが大きくなり、結果としてeパートナーに任せる仕事も増える。

 今年3月から、SIerのSRAと新たにeパートナー契約を結ぶなど、これまでに国内で9社、中国で2社の計11社に増やしている。重要な部分を任せるパートナーを絞り込むことで「情報セキュリティや品質などを高める」狙いもある。

 eパートナーを含む協力会社全体への外注費は2006年3月期の連結ベースで前年度比約18%増の約760億円、06年4-12月までの9か月では前年同期比約14%増の約670億円だった。旺盛なIT需要に比べて社内リソースの拡充には限界があり、外注費は増加傾向にある。

 上流工程を任せられるeパートナーを活用することで、より積極的に新規案件を獲得できる体制を強化することで事業拡大を図る。