【ソウル発】円安の影響で米市場で苦戦していた韓国デジタル製品だが、4月2日の韓米FTA(自由貿易協定)妥結で関税が撤廃され、米国市場における日本メーカーとのシェア争いに優位な立場となった。一方で、米国からの輸入部品の価格が下がるので、韓国と日本の間での貿易が減るのではないかとする見方もある。

 半導体などのIT製品はすでにITA協定(情報技術分野の関税撤廃)により米市場では関税がゼロないしは1-2%に過ぎないため、今回のFTA妥結による輸出・内需の影響はそれほど大きくない。しかし、カラーTV・デジタルTVは5%の関税が残っていたため、三星電子や韓国電子企業などはFTA妥結で「5%の関税障壁」がなくなり、米国デジタルTV市場で日本のソニー、シャープ、松下電器よりも価格競争で有利になったとみている。5%だったデジタルTVの関税が撤廃されると、42インチHDTVの場合は約80ドルの値下げ効果がある。

 特に三星電子はFTA効果により、世界デジタルTV市場の30%ほどを占める米国市場で、2年連続でシェア1位の達成が有力となっている。三星電子は今年、米国市場で200万台以上、世界市場で1350万台のデジタルTVを販売できると予想している。

 米国デジタルTV市場の規模は2005年で560万台、06年860万台、今年は900万台に増加する見込みだ。三星電子米国法人の関係者は「米国デジタルTV市場は韓国と日本の戦場になっている。今回の韓米FTA締結により、米デジタルTV市場で日本より有利な立場になれたので、2年連続1位達成が可能になった」と話している。

 三星電子やLG電子の場合、米国に輸出する製品はNAFTA(北米自由貿易協定)締結国であるメキシコ工場で生産・供給しているため、関税の適用を受けていない。ただし、韓国内で生産されるプレミアム家電、PDPTV、LCDTVなどは関税の対象となっていた。それが関税の負担なく輸出できるようになったわけだ。また、円安の影響で、日本製品との価格競争で負けていたのが、関税撤廃によりデジタルTVなどプレミアム製品群で挽回できるものと予想されている。

 FTA妥結により商品の輸出入だけでなく、米国の先進技術投資の誘致が拡大され、新しい経営技法などが導入される可能性が高くなった。米市場進出に対する不確実性がなくなるという点でも、IT製品の製造に好ましい影響を与えている。

 KOTRA(大韓貿易投資振興公社)は、「関税率が低い機械類や電機電子製品類の場合、関税引き下げによる直接的な影響は小さいが、工作機械・デジタルTVなどは国家イメージの向上や通関簡素化にともなう費用節減など韓米FTA妥結の間接効果が期待される」と分析している。特にプレミアム家電、LCDTVなど映像家電製品、通信機器生産技術、メモリ半導体、ディスプレイなどは輸出拡大効果がある。

 産業研究院の分析結果によると、韓米FTAが発効されてから韓国の輸出は10年の間に年平均23.4億ドル増加すると予想されている。FTA効果で投資家の権利保護などが整備され、対外信用度が高まって外国人投資も増える。対外経済政策研究院(KIEP)は、韓米FTAの影響で長期的には外国人投資が216.3億─318.8億ドル増加すると展望している。

 一方で、FTA妥結により米国家電製品が韓国市場に流入してくることのほうが深刻だという見方もある。現在8%の韓国輸入関税が撤廃されることにより、値下げ効果が大きいからだ。また、日本や中国に依存していた部品輸入もより値段が安い米国から輸入することになるため、日本との貿易が減ってくるのではないかとの観測もある。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)