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米データコア 総合的な仮想化をアピール 四半期ごとに売上高50%増へ

2007/06/04 21:40

週刊BCN 2007年06月04日vol.1189掲載

 ストレージ仮想化ソフトメーカーの米データコア・ソフトウェア(ジョージ・テイセイラCEO)は、ストレージとサーバー、クライアントの総合的な仮想化を切り口に、世界市場での売上拡大を図る。すでにサーバーやクライアントの仮想化システムを導入しているユーザー企業に対してソフトを拡販。四半期ごとに売上成長率を50%増の軌道に乗せ、5年以内にヴイエムウェアやシトリックスなど大手仮想化メーカーが達成した“ビリオンダラー(10億ドル、約1200億円)ベンダー”を目指す。

 同社は、サーバー、クライアントとともにストレージもトータルで仮想化する「トータル・エンタープライズ・バーチャライゼーション」を掲げている。日本ではアルファネットなどを販売代理店として獲得し、仮想化を切り口にデータコアの「SANmelody」を販売中だ。同社のソフトを扱う代理店は、ヴイエムウェアやシトリックスのソフトも扱うケースが多い。ストレージだけでなく、サーバーやクライアントを含めた総合的な仮想化が可能な「トータル・エンタープライズ・バーチャライゼーション」を提供していくことでユーザー企業を増やすことが狙いだ。

 2006年の売上高は3000万ドル(約36億円)弱だが、5年以内にはヴイエムウェアやシトリックスと並ぶ10億ドルまで増やしたい考え。テイセイラCEOは、「売上成長率は、前年比30-40%増を維持している。しかも、第2四半期が第1四半期より40%増えるなど、四半期ごとに売り上げが増えるケースもある。そこで、売上成長率が四半期ごとに50%伸長する企業体質をつくり上げる」としている。

 ここにきて、同社が売上高を大幅に伸ばせると自信をみせるのは、「仮想化需要の増加とともに、システムの一部分だけを仮想化しても意味がないという認識が高まりつつある」ためだ。

 仮想化したサーバーに対応したストレージシステムを構築するには、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)が必要となる。

 しかし、SANはコストが高く運用が複雑という難点がある。こうしたネックは、ストレージを仮想化することで解消できる。「欧米では、すでに統合的に仮想化する流れが進んでいる。日本も、近く欧米と同じような状況になる」と観測する。実際、日本では仮想化をテスト環境などに導入しているケースが多かったが、最近では“サーバー統合”を切り口にブレード導入のフェーズに移っており、次のステップとして仮想化ニーズが出てくるとの見方が強まっている。
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