札幌市、さっぽろ産業振興財団、マイクロソフトは産官学で、東京・調布にあるマイクロソフトの製品開発・検証などを行う施設の地方展開第2弾となる「札幌イノベーションセンター」を開設した。総務省が作成した「PBL(Project based learning)教材」を使用して、国内初のITアーキテクトを対象にした講座などを実施する。札幌市は同センターなどを利用、10年後に3万人のIT技術者を養成し、市内IT産業の売上高を1兆円に成長させることを狙う。市内のITベンダーは、同センターで新規ソフトウェアのアイデアを検証することも可能となった。

 同センターは、ITベンダー40社、約2100人のIT関係者が働く「札幌市エレクトロニクスセンター」(札幌市厚別区)内に開設した。マイクロソフトの地方展開は、岐阜県に次ぎ2番目になる。同センター内は、パソコン4台を設置し、7人程度が会議を行うことができる約27平方メートルの部屋と、10人程度が8台のパソコン前で会議できる約50平方メートルの部屋に分かれている。このパソコンは、東京・調布のマイクロソフトイノベーションセンターにある100台以上のサーバー群と接続され、調布と同等の検証ができるという。

 札幌市イノベーションセンターでは、総務省が昨年度、ITコンサルティング会社、豆蔵の協力を得て開発した「ITアーキテクト育成PBL教材」を使用した講座を実施。上流工程からソフト開発に必要なプロジェクト面を擬似的に体験しながら学習する教材で、課題解決の手法や能力の習得を図る。同省は一昨年度、企業内のCIO(最高情報責任者)向けPBL教材を開発。来年度はITベンダーのプロジェクトマネジメント用の「ICTマネジメントPBL教材」を開発する計画だ。

 北海道内にあるITベンダーの8割が集積する札幌市。このうち、大多数が大手SIベンダーなどからの下請けを担っている。ただ、ここ数年でオフショア開発へのシフトが進み、案件獲得が難しくなりつつある。ITアーキテクトなど高度情報通信技術(ICT)人材を大量に育成することで、道外からの開発案件を上流工程から一括受注する仕組みを構築する。

 2年前からは、マイクロソフトと共同で、地元IT技術者とITアーキテクト育成プロジェクトを開始したほか、同社や日本オラクル、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などと、雇用創出事業も積極化しており、人材育成を含めIT産業全体を成長軌道に乗せようとしている。

 札幌市によると、市内IT産業の売上高は、昨年度がIT関連で約2800億円、コンテンツ関連で約2000億円に達している。これを10年後に1兆円と目標を定め、技術者を現在の1万4000人から3万人に引き上げる。このうち、ITアーキテクトは昨年度までに145人を養成しているが、今後3年間で600人に増やす計画だ。