アシスト(ビル・トッテン社長)がオープンソースソフトウェア(OSS)利活用のコンサルティングサービスを事業化する。OSSで提供されているオフィススィート「オープンオフィス・オルグ(OpenOffice.org)」の導入から活用について、ユーザー企業の現状分析からユーザー教育までを受託する。同社は事業の軸足をパッケージ販売からサービスモデルに転換したい考えだ。

サービスモデルに軸足移す

 アシストの設立は1972年。メインフレーム向け輸入パッケージの市場を開拓したリーディングカンパニーだ。80年代にはUNIX用リレーショナル型データベース管理システム「Oracle」をいち早く扱い、米オラクル社の日本進出に道筋をつけたほか、90年代にはノートブック型パソコン用の低価格ソフトを製品化するなど、新規分野への取り組みも積極的だ。顧客企業は東証1・2部上場企業を中心に2000社を超え、07年4月現在の従業員数は710人、売上高は182億円(06年度)。

 昨年からオープンソースソフトウェア協会の勉強会に参加するなど、OSSの調査研究に着手、今年2月には自社内約1000台のパソコンのうち700台にオープンオフィス・オルグを導入して実務に使っている。取引に必須の見積書や契約書など約1500の文書ファイルをMS-Officeからオープンオフィス・オルグに移行、あわせて社内SNSにOSSのOpenPNEを採用するなど、社内システムのOSS化を進めてきた。

 一方で同社は、OracleやNORENなど取扱いプロダクトについて、マニュアルや操作ガイドを独自に編集、ユーザーの問い合わせに対応するヘルプデスク・サービスやオンサイト・サービスも有償で提供している。ユーザー企業から事務処理系デスクトップ用ソフトウェアのコストダウン要求が強まっていることから、オープンオフィス・オルグを社内に導入した実経験を整理、既存のヘルプデスク・サービスやオンサイト・サービスと組み合わせる。

 OSSサポート・サービスの内容は、ユーザー企業におけるオープンオフィス・オルグ導入計画の策定、既存データファイルの移行サポート、ユーザー教育、ヘルプデスク・サービスなどで構成する。受託料金は対象システムの規模や特性、オープンオフィス・オルグを導入するパソコンの台数などに応じ、ユーザー企業と取り決める。

 最大の特徴はユーザー企業の事務処理系システムの現状や、エンドユーザーのITリテラシーなどを調査・評価するアセスメント・サービスだ。個々のパソコンにオープンオフィス・オルグを導入するよりも、サーバーにインストールするほうが適切と判断した場合は、サーバーのセッティングもサポートする。また自動的に移行できない文字・記号、MS-Office ViewerやPDFとの併用といったノウハウも提供する。

 10月に東京、名古屋、大阪、博多で開催するアシストフォーラム2007で正式に発表するが、すでにユーザー企業に対してアナウンスを開始しており、2ケタの企業から引き合いがあるという。年内は周知期間と位置づけ、本格的な事業展開は来年以後となる。当面は売上高全体に大きな影響はないが、パッケージ販売に軸足を置いてきた旧来のビジネスモデルからサービスモデルに転換する第一歩と期待している。

 MS-Officeのエンタープライズ契約は、インストール・ライセンス数と契約期間によって料金が異なるため、コストダウンできる金額は一律には表せないが、アシストの場合、年間3000万円の契約料が3年間で1700万円程度低減する見込み。オープンオフィス・オルグは無償だから、導入するだけでコストがゼロに近づくと考えられがちだが、ファイル変換や他のアプリケーションとの整合確認、ユーザー教育などの費用が必要となる。同社は自社の経験をもとに移行計画を立案して提供する。

 OSSはプログラムのソースコードが公開され、コピーフリーが原則。特にオープンオフィス・オルグは、MS-Office(ワード、エクセル、アクセス、パワーポイント)との互換性が高く、先に国際標準化機構(ISO)が採択したODF(Open Document Format)仕様に適応している。

 MS-OfficeのOpen XMLがOSI(Open Systems Interconnection=開放型システム間相互接続)標準に採択されなかったことから、ユーザー企業のオープンオフィス・オルグへの関心が高まっている。