セイコーエプソンの特許登録件数がここ数年急増している。2006年に登録した国内特許件数は2448件で、国内では第3位の件数となっている。03年の1019件と比較すると、2倍以上に増加していることになる。また、米国における特許登録件数も1205件となり、13位に上昇してきた。この背景には、02年から開始した知的財産戦略の強化がある。

 セイコーエプソンでは、知財部門の人員を2倍となる約400人に拡大する方針を打ち出すとともに、知財力倍増活動として「Dolphin(ドルフィン活動)」を開始している。05年には、BP(Brilliant Patent)取得活動を開始し、キーパテントの取得に力を注いだ。

 従来は、研究開発現場からあがってきた案件を、知財部門が特許出願および登録作業を行う仕組みであった。それをドルフィン活動の開始に伴い、研究開発現場に知財部門の社員が直接参加。研究開発と同時並行して特許出願、登録などを行う仕組みへと変更した。さらに05年には、知財部門の数人がプロジェクト段階から参画し、開発テーマの選定段階から知財面における支援を行う仕組みを採用した。

 06年3月に、長野県広丘に開設したイノベーションセンターには、同社の研究開発部門に加えて、知財の主管部門も移転した。研究開発と知財部門が物理的にひとつの場所で作業ができる環境が整ったことも、ドルフィン活動を後押しした。

 これにより、迅速な特許出願作業の推進に加え、他社が持つ知財を掌握した上でビジネスを推進できるようになり、研究開発の効率化や、クロスライセンスによる技術取得などを含む戦略的な製品化に乗り出すことに成功。06年11月には、マイクロソフトと知財の相互活用を目的としたクロスライセンス契約を結んだ。

 また、知財の権利行使によって、海外で流通するエプソンブランドをかたった粗悪なインクカートリッジの排除にも乗り出している。06年2月には、違法に模倣したインクカートリッジを製造していた24社に対して、米国国際貿易委員会(ITC)において特許権侵害訴訟を行い、07年3月には、総括的排除命令の仮決定が出されるといった成果に結びついている。

 今後も製造および販売差し止め、行政処分、税関での取り締まりといった手法で、これらの粗悪インクの排除に取り組んでいく考え。さらに、販売会社を含めてビジネモデルの領域にまで踏み込んだものへと、特許登録の対象を広げる意向を示している。