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■韓国のIT動向■三星電子 マイクロソフト・インテルと提携 パソコン管理サービスを開始

2007/11/19 22:25

週刊BCN 2007年11月19日vol.1212掲載

 【ソウル発】企業などで使われている膨大な数のパソコンやIT資産を効率的かつ安全に管理する目的で、韓国IT業界の大手3社が提携することとなった。個人向けパソコンを製造している三星電子とCPUのインテルコリア、およびソフトウェア開発の韓国マイクロソフトが組んで、「トロイカソリューション@エンタープライズ(Troika Solution@Enterprise)」を発表した。

 「トロイカソリューション@エンタープライズ」は企業のIT資産管理のためのワンストップサービスで、パソコンの不具合による業務中断などの損失を大幅に節減できる。

 インテルコリアは法人向けデスクトップとノートパソコンのプラットフォームである「インテルvプロ」と「インテル セントリノ プロ」プロセッサ技術を提供し、三星電子はこうした技術を具現化した最新型の法人向けデスクトップのDB-P70、DB-Z70とノートのNT-P55PC、管理ソリューションである「スマート・マネジャー」を提供する。これに対し韓国マイクロソフトは、パソコンOSのWindows Vistaとハードウェア基盤の管理環境をサポートするマネジメントソリューション「System Center Configuration Manager 2007」を提供する。

 企業ではネットワークに数百台のパソコンがつながっているため、厳重なセキュリティ管理が必要となる。1台の端末がウィルスに感染すると、あっという間に広がる危険性がある。サーバーやストレージのような企業用ハードウェアとは異なり、パソコンはこまめな管理が必要なのに、社員の管理に任せっきりにしている会社も少ないない。1人のIT管理者が数百台のパソコンを管理しながら、同時に各種ウイルスパッチやアップグレード、障害管理などを担当している企業も多い。それだけでなく、専門のIT管理者そのものが不在な小規模企業も多く、パソコンに問題が発生した場合、ハードウェアとソフトウェアを同時に管理してくれる一括窓口が必要とされていた。

 トロイカソリューションは社内にあるすべてのパソコンの機能と状態をいつも点検し、あらかじめ管理するサービスのことをいう。例えば企業で社員用として使われているパソコンがウイルスに感染すればこれを感知し、全社の他のパソコンに拡散しないように遮断して治療もする。

 最近の統合管理サービスはパソコンの中にある部品が正しく動作するかどうかも把握できて、電源が消されたパソコンまでも管理できるようになっている。管理者が電源が入っていないパソコンまで起動できるのは、(1)CPU(2)有・無線LAN接続(3)パソコン管理機能が統合されたインテルの「vプロ」および「セントリノ プロ」技術があるからだ。これを基盤に何台ものパソコンを管理するのはマイクロソフトの「System Center Configuration Manager 2007」が引き受ける。三星電子はトロイカソリューションに最も適合したパソコンを開発して供給する。

 三星電子コンピュータシステム事業部のオム・キュホ常務は「これからはパソコンとソフトウェア、事後管理をすべて含むトータルサービスを提供していく」としている。

 韓国のパソコン生産規模は年間400万台で、この半分を企業が購入している。今後、三星電子がノートパソコンを輸出している英国、ドイツなど10か国でもトロイカソリューションの説明会を開催する予定だ。
 趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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