プリンタメーカーのアプティ(山本健治社長)は、シリアルドットインパクトプリンタで新しい戦略を推進する。国内向けは高速機の品揃えを充実させる一方、需要が見込める新興市場の東欧などに向けては低価格機をメインに位置づける。成熟市場の国内では世界最速機を投入するなど付加価値を高め、新興市場では価格優位性を強めることでシェア拡大を目指す。限られた市場であるものの、競争に勝ち残れば収益性の高いビジネスが期待できる。

 ドットインパクトプリンタの国内市場は、ここ数年縮小傾向が続いている。だが、複写式の帳票は根強い需要があり、「消滅することはない」(石川匡幸・プリンタ開発部長)見通し。今後、競合他社の同事業の縮小・撤退などによってベンダーの寡占化が進めば利益率の高いビジネスが見込める分野だ。

 アプティは勝ち残りに向けて、ドットインパクトプリンタで世界最速機「PowerTyperV1000」を10月に投入。印字速度を競合他社の最速機よりも約10%、自社従来機より約20%速めた。研究開発に力を入れることで、優位性を高める方針。

 昨年度(2007年3月期)のアプティのドットインパクトプリンタの出荷台数は、一昨年度並みを維持している。「市場が数%ずつ縮小していることを考えれば、実質的なシェアは拡大している」(石川部長)とみる。

 国内ドットインパクトプリンタ市場のうち、OEMを含むアプティの出荷台数シェアは約15%を占めるとみられる。高速機の開発を継続することで、沖データやNECなど、「上位ベンダーのシェアを奪う」(松田富康・ゼネラルマネージャー)考え。

 今回投入した最速機は年間4000台の販売を見込んでおり、台数ベースで1%、金額ベースで1.5%程度のシェア拡大効果が期待できるという。

 新機種は計8枚の帳票を重ねて印字できるが、今後は世界最速のスピードを維持しながら10枚の複写印字を可能にする次世代機の開発を急ぐことにしている。

 一方、海外向けでは帳票を多く使う欧州市場の深掘りに取り組む。新興の東欧地区やロシアでの需要拡大が見込めることから、低価格機を重点的に売り込む。

 全体的にみれば、市場の伸びが限られるなかで、他の有力ベンダーが追加投資をためらう可能性がある。こうしたなかで高速化と低価格化という祖本戦略の二極化を進めることで、複写帳票の底堅い需要を囲い込む。台数、金額ともにシェアを拡大させ、収益率の高いビジネスの実現を目指す。