RIAビジネス激しさ増す

 オフィス用品通販大手のアスクル(岩田彰一郎社長)は、アドビシステムズのリッチインターネットアプリケーション(RIA)技術「AIR」の採用を決めた。国内での商用利用を表明した事業者はアスクルが初めて。RIAを巡っては、リッチクライアントビジネスの拡大を目指すソフトベンダーが相次いで参入している。今回、アスクルがAIRの全面採用を決めたことで、ベンダー同士の競争がより激しくなるのは必至だ。

 RIAは従来のウェブブラウザの表現力を飛躍的に高めたもので、使いやすいユーザーインターフェース(UI)として急速な普及が見込まれている。アドビのAIRは従来のインターネットブラウザの機能に、同社が持つ動画表示ソフトのFlash技術や文書フォーマットのPDF技術を組み込んだもので、アスクルは来年春をめどに「ASKUL DESKTOP」(仮称)として正式提供する予定。

 アスクルは、受注窓口をインターネットへシフトさせる戦略を推進しているが、現在のブラウザの表現力では限界があると判断。AIRの技術を採り入れることで、使い勝手を向上させ、インターネット経由での受注比率を高める。FAXではデータ入力の手間などがかかり、受注効率がインターネットほど高くない。半年に1度のペースで発行しているカタログもすでに約1000ページに達し、これ以上商品点数を増やしにくいという事情もある。

 表現力があるAIRを使うことで、商品の訴求力を大幅に高め、購買動向の変化にも迅速に対応させる。直近のインターネット経由での受注比率は50%余りで、残りがFAXでの受注が占める。

「インターネット上でより快適な購買環境を実現する」(内田洋輔・戦略企画本部執行役員)ことにより、早い時期にインターネット経由での受注比率を7割に高める方針。ビジネスの効率化、ウェブを使った営業力の強化を図ることにしている。

 AIRは“ウィジェット(またはガジェット)”と呼ばれる小型のアプリケーションソフトを動かせる。電卓やアスクルのロゴが入った時計、当日配達の締め切り時間をアニメーションで表現、セール品の情報を分かりやすく表示するなど、ウィジェットを使った「さまざまな仕掛けを用意する」(開発を請け負うSIerのサイトフォーディー・隈元章次代表取締役)と語る。これにより、利用者の主要部分を占める女性会社員の心を掴む考えだ。

 当面の課題は企業のパソコンにAIRの実行環境をインストールする必要がある点。企業ではセキュリティの観点から、アプリケーションソフトのインストールを制限していることが多く、AIRを使ったサービスを提供できない可能性がある。アスクルでは、購買金額の推移をグラフ化したり、担当者別の購買履歴を容易に一覧できるなど、購買管理機能をもったウィジェットを充実させることで、「企業にとってメリットがある」(内田執行役員)ことを訴求していくことで普及させる計画だ。

 今回の初期の開発費用は約2000万円。今後はウィジェットを拡充したり、従来HTMLで記述していた部分をXML化するなど、UIのリッチ化を推し進める。米国ではインターネットオークションのeBeyやSaaSベンダーのセールスフォース・ドットコムなどがRIA化に力を入れており、今後、国内でもRIA関連のビジネスが本格的に拡大する可能性が高い。