東京大学は11月30日、読解力を養う学習を支援するタブレットPC向けソフトウェア「MEET eJournal Plus」と、レノボ・ジャパンのタブレットPC「ThinkPad X60 Tablet」を用いた授業のデモンストレーションを、駒場キャンパスのICT支援型協調学習教室「駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)」で実施した。

 「KALS」の授業は、東京大学が教育環境の改善に取り組むプロジェクト「TREE(Todai Redesigning Educational Environment)」の一環として位置づけるもので、マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門「MEET(Microsoft chair of Educational Environhment and Technology)」の施策の1つ。同機関はマイクロソフトの寄附で、06年4月に東京大学の大学総合教育研究センター内に設置された。

 授業は主に教養学部の1・2年生を対象に07年5月から開始しており、夏学期(前期)は11コマ、冬学期(後期)は12コマ開講する。現在行っている冬学期では、ゼミナールのほか、英語のライティングやフランス語のリーディングとライティング、統計処理を行うデータ分析などを行っている。

 デモンストレーションは、中原淳・大学総合教育研究センター 准教授による全学自由ゼミナール「映像と文献で見る学力論」で行われた。全15時間の授業の6時間目を想定し、この時間では基礎文献を正確に読み、構造的に理解するためのもの。学生は各自タブレットPCで課題の文献を読み、4人ごとのグループに分かれてディスカッション、その後発表を行う。同ゼミナール履修者4人を含む学生16人が参加した。

 タブレットPC「ThinkPad X60 Tablet」の操作は、画面左側のスペースでテキストを読み進め、気になる箇所に色をつけたり下線を引いたりする。文献を読みながら、もう一方の画面右側の「マップ」と呼ばれるスペースに、重要と思われる箇所のテキストを引用して、「ノード」という箱型のメモを複数作成する。「ノード」は色分けして区分できるほか、線やコメントを挿入できるので簡単に相互の関係性を示す図を作成でき、テキストを視覚的に理解できる。作業を終えたら、各自読んだ文献をグループのメンバーに紹介し、情報の共有を行った上でディスカッション。最後に、各グループの代表者がスクリーンを使って話し合いの内容を発表した。

 「KALS」の授業を履修する教養学部2年生の男子学生は、「ITを活用した授業に興味があった。教育学部に進みたいので、将来教育の場でこうした技術を生かしたい」と語った。また、授業は履修していないが、デモ授業に参加した1年生の女子学生は、タブレットPCの使い勝手に関して「画面が(2つに分かれているので)小さくて見づらい」と述べたものの、「文献をそのまま引用するので間違いがない。(「ノード」を使った)作業をしながら読み進められるので理解が深まる」とメリットも語った。

 懇談会の席で、小島憲道・東京大学大学院総合文化研究科長 教養学部長は「最近の学生は、能動的な学習意欲の低下やコミュニケーション不足などが懸念される。こうした状況を受けて、初年次教育の重要性が高まってきた」と、「KALS」創設の背景を説明。

 また、レノボ・ジャパンの石田聡子・執行役員は「与えられたものだけをこなすでのはなく、『自分の立てた目標をどうしたらうまく達成できるか』を考えられる思考力が若いうちから必要。こうした力を育てる一助になれば」と授業の有効性を述べた。マイクロソフトの大井川和彦・執行役常務 公共インダストリー統括本部長は、「『MEET』は最新のテクノロジーを活用した日本で初めての試み。これを機に『MEET eJournal Plus』が日本全国に広まってほしい」と意気込みを語った。