NECネクサソリューションズ(渕上岩雄社長)は、顧客の業績変動に合わせて価格を決める新体系のASPサービスを始める。顧客がASPサービスを利用した後の業績向上の度合いでサービス価格を設定。顧客がサービス導入後、設定した売り上げや利益を出せない場合は、原価で提供するケースも考えている。ASPサービスは、期間を区切って月額・年額の固定価格で提供するのが一般的。これに対し同社は変動型の価格設定を採用することで、顧客が導入しやすいようにする。

顧客の成長に合わせて価格を変動
設定基準を越えなければ原価提供も

 新サービスは、今年2-3月をメドに提供を開始する計画で準備を進めている。ASPとして提供するソフトは、主に企業が使う業務アプリケーションで、具体的なメニューを詰めている最中。価格は個別見積もりで、価格やSLA(サービス・レベル・アグリーメント)など顧客と個別に交渉して詳細を定めたあとに提供を始める。

 営業活動は、幅広く顧客に提案するのではなく成長性などを基準にターゲットを絞り、NECネクサが直接アプローチする。顧客の選定に際しては、与信管理などに強い経営コンサルティング会社と提携して信用度の精度を高める。ターゲットにする顧客の年商規模は、主に100-500億円の中堅企業としている。

 ASPサービスは、月額や年額の固定価格で提供するのが一般的だ。NECネクサではこの固定価格を一部の自社商品で見直してASP化し、新サービス利用による顧客業績の変動具合で価格を決める“業績連動型”とした。

 新サービスで顧客の業績が伸びればサービス価格は上がり、逆に業績が伸びなければサービス価格は下がるわけだ。「顧客が、設定基準の売り上げや利益を出せなければ原価でサービスを提供し、当社は利益を出せないケースもあり得る」(渕上社長)。顧客は無駄な投資を省くことができ、サービスを導入しやすくなる。

 成長著しいASPサービスと新価格体系で他社との差別化を図り、中堅企業向けビジネスを活性化させる。

 NECネクサはNECが100%出資するSIerで、中堅・中小企業(SMB)向けのシステム構築をメイン事業に据える。ただ、ここ数年はNECからの下請けなどにより大企業の顧客が増え、主軸に位置づける年商500億円未満の企業向けビジネスが手薄になり、全体の約40%にとどまっていた。業績もほぼ横ばいが続いていることから、渕上社長はSMBを再びメインに据える成長戦略を打ち出すことにした。2009年度に年商500億円未満の企業向けビジネスを20ポイント高め、60%に引き上げる計画だ。

 昨年4月に組織を再編し、顧客の企業規模ごとに事業本部を設置する体制へと変更。年商500億円以下の企業向けビジネス推進体制は、年商100億円-500億円のビジネスを担当する「第二マーケット事業本部」と、100億円未満を担当する「第三マーケット事業本部」に分けた。新サービスは、第二マーケット事業本部が推進する戦略商品として提供する。

 ASPサービスは、情報システムを保有するのに比べて、初期投資額が低いうえ運用の手間を軽減できる方式として注目され、市場が伸びている。

 ASPの普及・促進活動を行うNPOのASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPIC Japan)の調査レポートによると、市場は年率約30%で伸び続け、2010年には1兆5000億円を超える規模になると予測している。セキュリティ技術の進化と回線の高速化に加え、「SaaS」が好材料になって、ここ数年で一気に広がった。顧客の関心は高く、08年以降も安定した成長が見込まれる。